脳梗塞の前兆




(承前)
さて、車で病院に運び込まれた父は緊急の手当てを施され、MRI検査などを受けて下された診断は脳梗塞。

よく脳梗塞には前兆があると言われますが、この時も今思えば明白な前兆がありました。
脳梗塞発生の2週間程前、両親と私は熱海までの小旅行に出向きました。
その頃会員制リゾートクラブの会員権を私が持っていたので、それを利用したのです。
土曜日だったので、両親二人が先に行き、当時塾を経営していた私は授業を終えて夜にホテルで合流しました。
夜食事を終えても風呂に行こうとしない父を不審に思って聞いてみると、「ちょっとこわいから風呂はやめておくよ」、と。

母の話ではホテルに着く前にちょっとしたアクシデントがあったというのです。
熱海駅からホテルまでは徒歩で20分程。
天気も良いので、駅から歩いてホテルに向かうと、10分程歩いたところで足が痺れて歩けなくなった。
5分程じっと様子をみると足の痺れは取れ、歩けるようにはなったが、大事をとってタクシーでホテルに来た、と。

今思えば、この足の痺れというのが脳梗塞の典型的な前兆だったのでしょう。
ホテル内では足の痺れも再発せず、無事1泊2日の小旅行は終了しました。

帰る前、熱海の街で寿司を食べ、駅までのタクシーを待ちながら、冬の夜風に吹かれてゴールデンバットをくゆらしていた父の姿が懐かしく思い出されます。(続)