ついに始まりぬ応答のない問答が

思えば父は2月に発病入院して、当初は担当医も、「大丈夫回復しますよ。歩けるようになるし、日常生活支障なく送れるようにはなりますよ。」などと励ましてくれたのですが、実際は一向に回復の兆しが見えませんでした。
やはり当時84歳という年齢面が大きかったですかね。

毎日毎日専門のリハビリ師が迎えに来てはリハビリやるんですが、とにかく立てない、歩けない。

そして右脳に梗塞が発生した為でしょうか、テレビが全く見られなくなってしまいました。
画像が視野に入ってはいるのでしょうが、その画像の意味がつかめない。
この辺りは、医学書に書いてある通りの症状でした。

それでいて左脳はそれなりにしっかりしていて、逆に妙に研ぎ澄まされたような感もありました。

ある日のこと、例によって私が病室に入っていくと、ホッとして喜んだのかニコニコとご機嫌です。
「おい、今日は一句いいのが出来たぞ」と言います。

医師だった父は趣味で俳句も嗜んでいました。
「どんなのが出来たの」と私が聞くと、
「‘ついに始まりぬ 応答のない問答が’。クガツジン」と言います。
“クガツジン”て何なの、と聞けば、ニヤニヤ笑いながら「まあ、それはな・・・」などと口を濁します。
まあ季語も何もない、あえて言えば、いわば自由律俳句みたいなものでしょうが、妙にこの句が私の頭に飛び込んで来て、今でも頭にこびりついています。

恐らくは朝に晩に、ベッドの上で一人話しかけても誰からも返事がない状況をこう捉えたのでしょうが、頭に支障きたした父が、思いがけずも口にしたこんな一句にハッとさせられた自分でした。



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