阿片台地 地獄部隊突撃せよ (1966) 監督 加藤泰




ストーリー Movie Walker


戦中派の監督・加藤泰と、同じく、そして元暴力団組長・安藤昇がタッグで作った三本の映画のうちの一本。

戦中派とあえて書いたのは、この映画を観賞後調べていて、実は深い狙いがあることを感じたから。

それは国家が執り行う戦争、その陰に潜む偽善、権力行使や富の独り占め。そしてその一部の利益のために搾取される兵隊や庶民たち。その怒りや告発を、エンターテインメント=当時は単に「娯楽」の中に含んで発表していたのだろうと推測する。




↓ 加藤泰 監督(1916−1985)





↓ 安藤昇 元安藤組・組長(1926−2015)





映画は、昭和18年の中国が舞台。日本軍が駐留するある場所は地獄部隊と呼ばれ、ここには組織からはみ出た兵隊たちが送り込まれていた。

任務のひとつにケシの栽培がある。つまりアヘンを、部隊が秘密裏に製造し換金しているのだ。こうゆう話、歴史的事実は置いといて、じゅうぶんあり得る話だけに、よって虐げられる農民・地獄部隊の兵隊、そして肥える一方の軍閥たち、その図式が憎々しく感じる。








お国のために体を張り、あげく地獄部隊に送り込まれてしまった安藤昇。ケシを栽培する大地主・中国人の娘の「アヘンも戦争も嫌だ」という訴えに立ち上がった安藤は、アヘンの倉庫を爆破し、最後は日本軍にもそむき現地の盗賊になって、ロンリーウルフで「完」。

とんでもない展開だけど、監督の加藤泰は戦時中満州で記録映画を作ってて、安藤はチンピラあがりで特攻隊に志願し、体罰だらけの訓練を終え、愈々という時に終戦を経験している。


↓ 戦後闇市写真。






私の大好きな映画の一本で、原作・西村望、監督・井筒和幸「犬死にせしもの」を紹介する。この映画は終戦後の瀬戸内海で海賊行為を働く復員兵たちが主人公。真田広之・佐藤浩市らが、安田成美演じる売り飛ばされた花嫁を略奪してしまったことから、命を狙われる話。





犬死にせしもの





真田広之ら海賊の論理はこうだ。国のために死ねと言われ命を張って結果生き抜いて、あげく民主主義とか言われてもろくな仕事は無い。なのに戦時中も戦後も、銃火をくぐらずに(例えば武器売買などで)富を得て、ぬくぬくと暮らしている奴らがいる。そんな奴らから略奪して何が悪い? 








あの戦争を若者として体験し、一兵卒としてまた国家の駒として、生きることと死ぬ(散る)ことを当たり前のように並列させて考えていただろう時代。

私なんかがどれだけ想像しても、本当は及ばない理不尽な世の中。

お国のために死ぬことが義務と教えられ、実現できないまま敗戦し、180度世の中が変わってしまうこと。

そんな経験を、映画=娯楽に暗喩した加藤泰と安藤昇。




2016年 9月1日
京橋・国立近代美術館フィルムセンター にて鑑賞 




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安藤昇を知る


自伝 安藤昇





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