偽大学生 (1960) 監督 増村保造





ストーリー Movie Walker



増村保造 × 若尾文子を続けます。

前の 「刺青」 もしばらく前の劇場鑑賞で。そう言えばこれもと、衝撃を受けたことを思い出し。

若尾文子出てますが、これは何と言っても「ジェリー藤尾」の映画。私的には子どもの頃、テレビで見る彼の姿になんだか「チャラい」印象を受けていましたが、モノクロ画面に踊る「偽大学生」を演じるジェリーの姿は、まさに「チャラい」からこそ存在感を発していたのだと納得。







原作は大江健三郎。で調べてみると、大江さんがこの映画のテレビ放映(キチガイという台詞多々出てくるので絶対無理ですが)やソフト化の許可を出していないらしく、時折の上映でしか観られないという超貴重作品。

東大に不合格、失意のジェリー藤尾が、ジャズ喫茶で出会った東大・学生運動の中心人物(伊丹十三)を救ったことで「東大生」を名乗ってしまい、やがて学生運動で頭角を表していくが嘘はバレて・・・という物語。





「遠くヘ行きたい」+「ダニー・ボーイ」





この時代、国家権力や体制への抵抗としてあっただろう学生運動。でも学生たちも組織立って行動する以上、そこには保守的な部分や革新的な部分や、組織内の歪みが存在してしまう。

ニセ東大生を見破った仲間たちは、ジェリーをスパイだと詰問し、監禁し暴行を加えます。その事実が警察に知られ裁判沙汰になったら、今度はジェリーをキチガイ扱いし、本当に精神病院送りにしてしまいます。それもこれも学生運動の正当化をはかるためです。








つまり、権力や体制を批判し追求する学生どもも、同じように隠蔽・偽善に手を染めているということ。何だかブラックで、超強烈なラストが待っていますが書かないでおきましょう。

さて原作は女性の視点、つまり学生運動家の若尾文子の視点らしく、映画は偽学生・ジェリー藤尾の視点。ここに原作者・大江健三郎の「封印」の理由があるのかも。機会があったら原作にチャレンジして、またいつかレビュー追記したいと考えます。


冒頭のポスターにあるキャッチコピー「私は忘れない!あの偽大学生に噛まれた腕の痛みを」って・・・映画を売らんが為の文言(若尾文子が噛まれる!という売り??)とはいえ、映画の確信は全然そこにはありませんので(笑)。




↓ 監禁に気が触れて、ジェリー藤尾が若尾さん噛んだのは噛みましたけどね。





後日、鹿島茂さんという、まさにキチガイみたく日本映画を観まくった人の著書をラピュタ阿佐ヶ谷でゲット。第二章が「ジェリー藤尾」で、まさにチャラい男の神髄と、この映画に関する素晴らしい洞察を得ました。おすすめです!





昭和怪優伝 - 帰ってきた昭和脇役名画館 (中公文庫)






2013年 10月 
早稲田松竹にて鑑賞


2018年 2月22日
シネマヴェーラ渋谷 ”シネマヴェーラ的 大映男優祭”にて再見。より深く味わいました、傑作です。同時上映は三島由紀夫主演のこちら 「からっ風野郎 (1960)」監督 増村保造









公開当時の批評が貼ってました。







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映画監督 増村保造の世界〈下〉“映像のマエストロ”映画との格闘の記録1947‐1986 (ワイズ出版映画文庫)

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