雁の寺 (1962) 監督 川島雄三






ストーリー Movie Walker




男がいないと女でいられない。

若尾文子演じる女、元は貧乏な家の出で若くから奉公に出され、やがてその容姿の良さから数々の男のもとを渡り歩いたと思しき佇まい。そっと首をかしげただけなのに、そのうなじから漂う妖気はハンパない。











京都のとある禅寺でふすま絵を描く高名な絵師。筆を滑らせながら傍らに愛人・若尾文子を抱きつつエロエロしております。

やがて絵師が死ぬんですが、絵師は死の直前に禅寺の和尚に遺言を残します。「若尾文子を頼む」と。
和尚もまんざらではなかったので、初七日の法要にこっそり現れた若尾を押し倒し「わしの女じゃ」としてしまうわけです。









禅寺の和尚演じる三島雅夫のハゲデブエロっぷりもたまらんのですが、何よりも若尾文子。 「刺青 (1966) 」 の時にも書きましたが、若尾さんは増村保造監督作が有名で(18年間で12作品のコラボ)、川島監督とはこれを含めて3本。前年公開の 「女は二度生まれる (1961) 」 と 「雁の寺 (1962) 」 と同じ年公開の 「しとやかな獣 (1962)」  まさに同時期に巨匠のもとで30代お色気まっさかり(なんて書くと軽薄すぎますが)な魅力が微妙に違う形でフィルムに残されております。










さて、男がいないと女でいられない。というのは、男を亡くした時の若尾文子の抜け殻っぷりを観て感じたもの。ずっと男に依存して、そうしてさえいれば衣食住に困ることはないわけで、それが当たり前で空気みたいなもので、相手がハゲだろうが関係なし、愛してくれるならそれで良し。だから取り立てて尽くすわけでもなく、人形かぬいぐるみみたいにいつでも抱き寄せられる存在でありつづけてきた生き方。それがわずかな仕草に凝縮されてて体現されている感じ。もう、鳥肌ものです。










原作はこの小説で直木賞を取った水上勉(みなかみ・つとむ)。あとで調べて分かったのですが、実は水上さん、この作品で和尚に今で言うパワハラを受ける小僧と同じような過去があったそうで。つまり、この小僧と同じように、禅寺で修行という名の虐待を受け、和尚たちに憎悪の念を持っていたそうなんです。

同じ原作の 「飢餓海峡 (1965)」 監督 内田吐夢 の時にも感じましたが、水上勉作品には人間の業の深さが詰まっている感じ、そして犯罪を犯してしまう側の、言葉では説明できない心理みたいなものが隠されている気がします。





↓ 原作を読んで、これも読もう。水上さんが生前に語ったインタビューだそうです。


「雁の寺」の真実






和尚の友人で関連する寺の和尚をする名脇役・ 山茶花 究(さざんか・きゅう)  が最高に可笑しかったことを付け加えておきます(長くなったのでまた別の映画で機会があれば)。こうゆうくすっと笑える所があるのも川島雄三監督作品の魅力、単に暗く重くするだけではないという。





↓ 山茶花 究(1914-1971)それにしてもすごい芸名(3×3=9だなんて)。今回初めて知りました。これからチェックしよう〜














もうひとつ、映画のラスト、ネタバレになるので書きませんがビックリしました。 「幕末太陽傳(1957)」 の時のオープニング(というわけでもないが意味合いとしてありかも)を彷彿とさせる、ある種のぶっ飛ばし感。こりゃますます原作を読んで、暗く重い主題を個人的に見つめ直したくなってきました。











N.Y.でこんなのやってる〜 

4Kで蘇った川島雄三監督×若尾文子の世界-『女は二度生まれる』『雁の寺』『しとやかな獣』-ワールドプレミアのNY上映 







↓ タイトルと秘密のエンディングのみカラーです。







2017年 12月 5日
神田・神保町シアター にて観賞





Amazon プライムの動画配信で見る!(この文字クリックして検索!)






買って見ます!


雁の寺 [DVD]


Japan Movie