江戸一寸の虫 (1955) 監督 滝沢英輔







地味な作品だけど結構良いレビューがあったので嬉しい。

ハッピー昭和クラブ「江戸一寸の虫」

大衆文化評論家指田文夫の「さすらい日乗」


いずれのレビューも製作された時代背景、昭和35年つまり日米安保闘争との比喩の指摘があり、すなわちこの映画は明治維新前後の「国が変わる」という激動を背景に、不器用すぎる実直な男の、いささか馬鹿なこだわりに沿った内容、バカと書くのは失礼なんだけど『時代』に沿えない沿おうとしない生き方に拘泥した男。元来江戸幕府に仕える幕臣で、しかしある事件で幕府の方針に異を唱え浪人になった三國連太郎が、色々紆余曲折の末、幕末に薩摩長州軍が幕府を倒す時になって「それでも俺は幕府の群臣だ!」とプライド見せんとばかり、絶対に勝てないと分かっているはずの戦場(上野・彰義隊の戦い)へ向かうというもの。


この映画、先ずビックリしたのは冒頭、幕臣として登場した三國連太郎(当時32歳)の美しさ!絵にするとこんな感じ?









キラキラ・つるつるの額、キリッとした黒く大きな眼差しと眉毛。格好良いというより「美しい」が相応しいお顔に見とれてしまいました。それもつかの間、三國は自ら浪人に成り下がり、吉原の女・新珠三千代(当時25歳)を囲って朝から酒飲んでヒモ生活。お金が無くなるとお金持ちの庄屋などを巡り「どうせ悪いことして稼いだ金だろう?少し寄越せ、寄越さないと密告するぞ」と脅しせしめてシノギます。この変わりっぷりが「何で?」と思ってしまう。






左:嵯峨三智子(当時19歳)








三國連太郎、精一杯尽くしてくれる新珠三千代を足蹴にし、偶然出会った豪商の娘・嵯峨三智子にひと目惚れします。しかしついに御用となって牢屋暮らし。共犯者の名前を明かさないので拷問され、釈放されないまま6年後、明治維新の恩赦で娑婆に戻ります。その6年間、新珠三千代は半纏を届けたり手紙を送ったり尽くしていたのに知らんぷり、夢にまで嵯峨三智子のことばっかり考えていたバカ三國は出所後即、三智子の屋敷に向かったのですが、すでに人妻(薩摩か長州の男と)になっていたことを知り落ち込みます(ほんとバカ)。











のちにやっと新珠三千代の献身に気づきヨリを戻し新生活を始めるのですが、ラストは書いた通り破滅に向かうという物語。タイトルにある「一寸の虫」は、このような男が口にする「一寸の虫にも五分(ぶ)の魂」で、すなわちたとえちっちゃな虫けらでも、熱い魂は潜んでいるんやで、という意味。時代に取り残され、というかこの映画における三國連太郎の場合は、新しい価値観に迎合なんてしないぞ!という頑固で卑屈なまでの拘り。それを彼は魂と言うが、尽くし尽くしやっと添い遂げられると信じた新珠三千代にとってはそりゃ迷惑な話やでほんまに、と観ていて腹が立った次第(笑)。







2017年 12月20日
シネマヴェーラ渋谷  ”女優・嵯峨三智子” にて観賞










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