花嫁さんは世界一 (1959) 監督 新藤兼人








ストーリー Movie Walker




↑ 新藤兼人監督にしては珍しい「軽いコメディ」とありますが、その軽さを想像してみると、映画会社から「新藤くん、フランキー堺主演で軽いのを頼むよ」との要請を受けた新藤監督、とは言ってもここまでのキャリアでも、すでに錚々たる名作や問題作を世に送り出している監督のこと、「はい分かりました」と言ってやってみるものの、随所に「らしい」カットがちらほら。つまり単に軽いものに終わらせない何か、人を見つめる眼差し、背後に潜む本当の問題を喚起させるカットがある。これはあくまでも想像でしかないのだけれど。












アメリカの大農場で働く、母親想いで働き者の日系二世・フランキー堺が、お嫁さんは日本人に限る!と、珍しく悪役じゃない小沢栄太郎演じる国際結婚斡旋所に応募し来日、大阪・広島・名古屋でそれぞれ嫁候補と会って色々ありますが成立せず、その一ヶ月間アテンドしてくれた雪村いずみと気心がピッタリきていたことにラストで気づきハッピーエンドというお話(ごめんネタバレ)。






フランキー堺(当時30歳) 雪村いづみ(当時23歳)







明治・大正のころからアメリカへ渡り「日系人」として暮らしていた人たち。第二次大戦では強制収容所暮らしを余儀なくされ「ジャップ」と罵られ、それでも戦後諦めず暮らし続けた人たち。そのような部分はこの映画を普通の監督が撮れば不要な部分。しかし新藤兼人自ら脚本を書いて撮ると、例えば映画の冒頭、快活に面白可笑しく動きまわるフランキー堺のお芝居の合間に、ふっと黙々と畑を耕す老婆のカットが入る、そうゆう部分。すなわち登場人物たちの隠された歴史みたいなカットを、物語に直接関係なさそうにして見せてくれる。







ハートマウンテン日系人強制収容所: コダクロームフィルムで見る







他にもフランキーが訪ねる地に被爆した広島を選んだり、原爆ドーム(当時は柵がなく中に入れた)を見学したり、戦争というもの(対アメリカだったということ)をふと考えさせたり。そこまで観てそう言えばとタイトルバックを思い出したら、それはアメリカの広い空を背景に、日系人・インディアン・黒人・白人が何だか遠い眼をしながら口笛を吹いている、のどかなものだった。つまり人間肌の色もなにも関係ないという「意図」があったかどうかは分からないけれど、観ていて私はそれを感じた(受け取りました)。







と、ここまで書いておいて、図書館でこれ ↓ 借りて読みました。


新藤兼人・原爆を撮る







なんとやっぱり監督、広島近郊出身で終戦当時は33歳、予科練雑用兵として兵庫県に。その姉は被爆後の広島に看護婦として勤務。もうひとりの姉は戦前からアメリカに渡り4年に及ぶ強制収容所体験もありつつ開拓を続けていたということ。つまり「軽い喜劇」という体裁のなかで、「戦争」というものがもたらす影響を語らずにはいられなかったはずだし、「軽い」なかにどう「含む」か、だったのだろうと勝手に想像したりして・・・。






↓ 同年2月に公開。↑ 本によると「第五福竜丸」は興行的には苦しかったようで、独立プロを維持するために「軽い」作品も手掛けなければならなかっただろうと推察します。


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↓ さらに古本屋で立ち読み。アメリカに移住した新藤監督の姉の息子(監督にとって甥)が、この映画と同じように「嫁」探しで来日し、新藤さんがアテンドした体験がこの映画のアイデアになったそうです。


作劇術









戦後復興が進み海外への憧れが満ちあふれている日本。1ドル350円の時代の国際結婚。今じゃ考えられないくらい夢のようなお話だったハズ。


改訂 外国人のための国際結婚手続マニュアル








日系人ですから、フランキー堺がカタコト日本語で演じる向きに、あるサイトではそれだけで付いていけない〜みたいな評価もありましたが、私は結構楽しめました。バリバリの日本人が演じているというぎこちなさは置いといて、置いといて、ね、楽しまないと。







2018年 1月11日
ラピュタ ”歳末新春特選 コメディ天国 it's 笑 Time”にて観賞









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