警視庁物語 深夜便130列車 (1960) 監督 飯塚増一





↑ 上映館・ラピュタ阿佐ヶ谷で展示していた台本。ノベラリゼーション本。

ストーリー サライ 川本三郎さんの紹介サイト




長谷川公之 Wikipedea (1925-2003)警視庁の鑑識課出身の脚本家が描くリアルな刑事像。戦後経済発展著しい日本、しかし格差・貧困というリアルな断面も(故に犯罪が繰り返されるし原因になっているから)きちんと描いている。のちの刑事モノシリーズの元祖となった「警視庁物語」は全部で24作品あるそうです。なかでも一番評判の高いのがこれ。










あえてスタアを起用しない。服装は地味で靴もすり減っていたり、死体が発見されれば真っ先に駆けつけて捜査の前線を体験してきた、長谷川公之のリアルな眼差しが作品に投影されています。 「張込み (1958)」 監督 野村芳太郎 でも書きましたが、警視庁刑事と言えども列車移動は特等席になんか乗れず、一般人と同じように夜行列車で。出張は「夜行列車で行って朝に着く」が当たり前だから、大変だったろうなと思います。





今はノスタルジー。当時はそれが現実。


上野発の夜行列車・名列車 (キャンブックス)








また今作は東京・大阪が舞台だったので大阪人としては当時の景色(被害者が履いていたズロースの出所を探して心斎橋筋商店街を歩いたり、阪神ファンが飛び込んだ戎橋とか←現在は改装されたから)が懐かしく、鉄道ファンではないのですが蒸気機関車や車内の装飾なども見応えありました。つくづく携帯電話とかインターネットとか今を生きる私たちの廻りに当然のようにあるものが、なにひとつ無い世界。過去を見下して言うのではありません、映画の中にのめり込めば「トリップ」したような気分になります。また当時を語る貴重な資料としても観られるから、やはり古い日本映画、只者じゃないと感じた次第。





↓ プレスシートより。新人監督の意気込みに続いて「ウルトラマン」隊長・中山昭二(当時32歳)が新人として東映初出演!初々しいけど時代的な日本語使ったインタビュー記事。







「髪型も若向けにした」って・・・当時はこれが若いんだ。「チームワークをこわさないように、それに和して行きたい」「和して」なんか若者が使わない言葉だね。いやこうゆう古い文章も面白い。












犯人や共犯者たちの動機のひとつには、やはり貧困があります。刑事たちは彼らに優しく声をかけながらも「悪」を絞り出そうと格闘します。そんな人間ドラマとして存分に楽しめたのですが、ひとつだけ、今じゃあり得ないワンシーンを記録しておきましょう。

犯人の恋人(船橋ヘルスセンターの踊り子)を取調室に呼んだ捜査員。女、なかなか口を割ろうとしません。「婦人警官を呼んで身体検査!」厳しい顔した婦人警官やってきて隣室に女を連れて行きます。が、その隣室の扉が磨りガラスになっていて、シルエットですが半裸になる女の肢体がまる見え。その間、捜査員たちじっと無言で待ってる。これには絶句、セクハラやし。ま、娯楽作品として殿方へのサービスカットということでしょう、そんなことがまかり通った時代。 ↓ 記憶の画。













犯人を追い詰めて行くサスペンスとしても面白いけど、先に書いたような貧困の現実とか、例えば永遠の婆さん役・菅井きん(当時34歳)が、犯人が住んでいたアパートの一階でゴム靴を内職してて、やけに顔色が悪いことを捜査員に聞かれた菅井きんは「靴ゴムに使う接着剤でやられた」と。「禁止溶剤なんだけど、これを使わないと靴がたくさん作れなくて」とこぼすシーンがあったり、犯人の故郷が伊勢で、実際に当時襲った伊勢湾台風で農地がめちゃくちゃになり、その地を捜査員が歩きながら犯人の足取りを探したり、「悪」に至る裏側に潜むもの、がたくさん描かれていました。人間ドラマとしても秀作です。





↓ シナリオが論じられています。


シナリオ別冊 名作映画の構造 2011年 01月号 [雑誌]









2018年 1月22日
ラピュタ阿佐ヶ谷 ”警視庁物語 DEKA-SPIRITS” にて観賞


刑事たちが並んで歩くっていうスタイルもこれが元祖なのかな?






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ソフト化していないんだよ〜写真集でこんなのあったので。これもリアルな刑事たちの世界みたい。

昭和33年「茨城県下バラバラ殺人事件」を追う刑事2人に同行した20日間の捜査記録! ! 60年前の東京を舞台に、2人の刑事の犯罪捜査を、写真家・渡部雄吉が撮影。2011年にフランスで刊行されベストセラーに。2013年にはroshin booksで刊行された同名タイトルの写真集は、またたく間に話題となりました。ナナロク社版では、構成に人気作家乙一氏が参加。140点を超える写真で、東京タワーが登場する前の僕たちの知らない「東京」を舞台に、実在の事件捜査を追体験するような構成となりました。


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