五瓣の椿 (1964) 監督 野村芳太郎 






↓ とっても分かりにくいけど一応ネタバレストーリーはこちらから。

ストーリー Movie Walker




面白かった。タイトルが読めず劇場の支配人に聞きました。「ごべんのつばき」。5弁のということ。この弁という漢字、その同じ意味で「辯」「辨」「辮」「辧」とかあって、これは「瓣」。中が瓜。











最愛の父親を亡くした岩下志麻(当時23歳)が、その原因を作った悪い男どもを誘惑しひとりずつ復讐していく物語なんですが、計5人、基本かんざしでひと突きで殺ったあと、現場に父が愛してやまなかった椿の花弁を残していくスタイル。奉行姿も凛々しいザ・大岡越前こと加藤剛(当時26歳)が十手片手に現場を捜査し、花弁を手に推理していきます。そして調べれば調べるほど、被害者は最低の男ばかりだということが分かり、岩下志麻から届いた手紙には「法で裁けない者を殺る」と書かれていて、加藤剛は同情しつつも正義を探るという展開。





加藤剛。ルックスこのまんまでした。


大岡越前 第4部 [DVD]







何より岩下志麻が素晴らしく(ブルーリボン・主演女優賞受賞)妖艶熱演たまりません。休憩ありの2時間45分の本編中、出番が多いのでそりゃ集中力や演技力が只者ではないと感じました。執念に次ぐ執念を見せつけ、ラストでいったん境地に達し解脱したのち転落する様。その表情や体中から漂う狂気にふらふらになりました。お見事です。













翌年公開の 「飢餓海峡 (1965) 」監督 内田吐夢 の稿や他でも繰り返し触れたとおり、岩下志麻の父役の加藤嘉、母役の左幸子、それぞれ短い出番ながら強烈な存在感で迫ります。大店の主人で男手ひとつで店を切り盛りし、岩下を育て死を迎えた可哀想な父、いっぽうそんな家から飛び出して娼婦まがいの生活で数々の男たちと関係を持つ母。岩下志麻は父の死骸を母の別宅へ運び弔いを迫りますが、母はまったく相手にしないばかりか、岩下の本当の父親は別にいることをバラし、若い男と床に入ってしまいます。もうこの場面のスクリーンに漂う左幸子の「妖艶」さは完璧で圧倒されます。さあ涙に暮れるだけじゃない岩下志麻、家に火をつけ父の亡骸と母と若い男を一気に焼き殺します。DNAなんて無い時代、焼け跡の鑑識で若い男の骨が岩下志麻のものとして処理されました。岩下は名を変え女郎に変身し、憎むべき母と関係を持ち、母を狂わせた結果父をないがしろにした原因となる悪い男どもをひとりずつ・・・というわけです。






左幸子(1930-2001)


アサヒグラフ 1964年8月21日号 華子さん 津軽の旅/演技派の道をゆく-左幸子-








さあここまで読んで観ないわけにはいかないでしょう?あなた。ネタバレするのでストーリーを追うのはここまでにしておきますが、岩下志麻・加藤嘉・左幸子がそれぞれ、「ザ・岩下志麻」「ザ・加藤嘉」、「ザ・左幸子」と言うべき存在感を見せつけ、今こうして思い返していてもスタッフキャスト以下、すべてが「ザ・それぞれの役割」を完璧なまでに追求したようなクオリティの高さ、圧倒されました。







殺される男#1 「ザ・田村高廣(1928-2006)」ちゃらい三味線弾きという役柄。








殺される男#2 「ザ・伊藤雄之助(1919-1980)」婦人科の医師と称して性感マッサージしてます。ザ・適役!








殺される男#3 「ザ・小沢昭一(1929-2012)」スケコマシな放蕩息子。








殺される男#4 「ザ・西村晃(1923-1997)」狡賢い下手人。 ↓ 左上ね。


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殺される男#5「ザ・岡田英次(1920-1995)」エロ豪商。







↓ プレスシートより



製作に半年、総製作費1億6千万円、衣装1800点・1千万円、かつら200万円って細かいね。までもそれだけ松竹映画、総力を挙げての大仕事だったわけで、それは充分に伝わりました。あとはこうして語り継ぎ、一人でも多くの人に観て欲しいと願うばかり。必見です!






↓ これOFFSHOT。なので年相応なこの表情は映画にはありません。







2018年 3月6日
ラピュタ阿佐ヶ谷 ”石上三登志スクラップブック刊行記念 ミステリ劇場へようこそ” にて観賞








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DVDあります!


<あの頃映画> 五瓣の椿 [DVD]



2001年、NHKで国仲涼子主演でドラマ化されてたそうです。















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