安宅家の人々 (1952) 監督 久松静児






ネタバレ含むレビュー:Filmarks





安宅家(あたかけ)が最初読めなくて。

田中絹代さん目当てで観ようと決めたけど、果たしてどうだろう?と不安がありましたが、ストーリーが進むごとにぐいぐい引き込まれ。田中さんの演技がややオーバーアクト気味で分かりやすいのがナニでしたが、いやいやそれも含めて素晴らしい。じわり胸打たれる快作でした。












東京郊外にある大養豚場。父を亡くしその権利や財産を引き継いだ長男・船越英ニ(当時29歳)は精神薄弱者。なので養豚場の管理から実質的な経営は、(恐らく意に反してだと思うが)ここへ嫁がされた妻・田中絹代(当時43歳)がしております。小さな体でドロドロになりながら真面目に働いております。その間、夫の船越は家や隣接する養護施設で子供用の絵本などでお勉強。田中は船越を時折言葉厳しく扱いつつ、「家」を守るため、また「家の長」としての夫の見られ方などに神経過敏になり、そうゆう境遇であることを恥じておりました。







船越英二(1923-2007)お見事な演技。どこまでもピュアで真っすぐな精薄児役を、誇張しすぎずやりすぎず、絶妙の塩梅で演じてました。写真は別映画。








そこへ、ダメダメすかたん男を演じさせたらピカイチの、船越の弟・三橋達也(当時29歳)が新妻・乙羽信子(当時28歳)を連れて引っ越してきます。大養豚場の空いていた離れに間借りするわけです。ミッチー三橋達也は都内に事務所を構え、珍しくストレート芝居のコメディアン・大泉滉らと投資系のビジネスをやってるらしくなかなか家に帰ってきません。で専業主婦の妻・乙羽信子は養豚場の田中絹代を訪ね、やがて忙しい田中に代わり、船越英二の面倒を見るようになっていきます。






右:田中絹代 左:乙羽信子 (1924-1994)写真は別映画







乙羽信子は清廉に、まるで聖母のように船越に接します。積極的に外(大養豚場敷地内)へ連れ出し散歩、テニス、室内ではピアノなどを教え、船越もどんどん上達し、いつしか彼の心に芽生えたもの、♡。それが具体的に何なのか船越は分からないまま悶々として、それに気づいた田中は二人が会わないように乙羽に願い、乙羽も尊敬する義姉のことなので従います。

一方、三橋達也(1923-2004) 「洲崎パラダイス 赤信号 (1956) 」監督 川島雄三 の稿でも書きましたが、グズグズ男最高、ほんと見ていてむかむかします。の本当の狙いは養豚場の権利や土地。田中に借金の立て替えをさせたあげく、田中に内緒で養豚場の従業員に吹き込んでストライキをしたり、あげく何も知らない船越英二を拉致して財産放棄に追い込もうとしたり・・・。






ミッチー。晩年はダンディーかつお父さん的な役柄が多かったが、若い時は狡いやんちゃ兄ちゃんはまり役。






とここまで書くと、割とドロドロした愛憎劇みたく感じるかもしれませんが、そこは演出力、脚本力、それを言うなら田中絹代力でしょう、物語の軸に女性の持つ強さと儚さが据えられているので心地良いのです。終盤三橋達也をはじめとする「財産狙い」の男どもに、田中絹代は決して激せず、静かに「決意」を言い渡します。その凛とした美しさ。

また田中絹代が嗚咽するシーンでは、泣き顔ではなく背中をカメラに向けて、その小さな小さなお体全身から発せられる悲しみ。これが「役者」。役を生きるってことなんだと、感服致しました。







田中絹代(1909-1977)


田中絹代 (日本の映画女優)






調べてたら、田中さんの故郷、山口県・下関に記念館があるそうで。よし、絶対行ってやる〜!




田中絹代ぶんか館 WEBページ




2008年に東海テレビで昼ドラマ化されたそうです。そっちはいわゆるドロドロのグログロだったそうで・・・(笑)。




2018年 3月6日
シネマヴェーラ渋谷 ”シネマヴェーラ的 大映男優祭” にて観賞







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