彼奴を逃がすな (1956) 監督 鈴木英夫






クライマックスが違うストーリー Movie Walker




彼奴(きゃつ)を逃がすな。

きゃつ=あやつ、すなわち古い呼称なのでもろに昭和な感じ。 ↑ ポスターも映えます♡。

昭和33年、戦後まだ8年の東京。日比谷・新橋を思わせるガード下(原風景がいまなお残っているのでそう思ってしまうのですが)で小さな店を営む若夫婦。 木村功 Wikipedia (当時33歳)はラジオの修理、その妻・ 津島恵子 Wikipedia (当時30歳)は洋裁で、お金儲けにはならないけれど、近所の人たちと交流しながらささやかに暮らしておりました。そんなある夜、招待券があるからと映画を観に行こうとなった二人。しかし「今夜のボクシング中継が聞きたいからすぐに直して欲しい」と急なラジオ修理の持ち込みがあり、津島恵子は先に映画館へ、木村功は急いで修理をします。夜の7時20分、定刻どおり蒸気機関車が轟音をたてて頭上を通りすぎたころ、ふと店の外を見やった木村、ある人相の悪い男と目が合ってしまいます。







木村功(1923-1981) 写真は別映画








男は立ち去り、木村功は映画を観るため出かけ、夫婦で帰ってきた所、家の前の不動産屋の主人がピストルで殺害されて大騒ぎになっておりました。翌日の新聞の一面はこの殺人事件でもちきり。そして木村功はあの人相の悪い男こそ、殺害犯人だったのではないかと思うわけです。気弱な木村功は愛する(超美しい)妻・津島恵子に相談します。「警察に言ったほうがいいかな?」「駄目よ!殺害犯人から報復されるわ!」即答です。世界に名だたる平和日本にはまだ遠い時代だったのでしょう。ベテラン刑事・志村喬と眼光鋭い土屋嘉男が聞き込みに訪れても「その時間は二人で映画館にいた」と嘘までついてしまいます。蒸気機関車の音でピストルの音は聞こえませんでした。しかし男とは目が合ったのです。木村功夫婦は怯えて暮らします。







津島恵子 (1926-2012) 写真は別映画







夫婦が住むアパートは別にあり、その隣に住むタクシー運転手がピストルで殺されます。でその弾を鑑識したところ不動産屋殺しのものと一緒、つまり殺し屋は目撃者を間違って殺してしまったのです。さあ木村功ビビりまくりで津島恵子に黙って警察で白状します(目撃者なので証言です)。すると警察、木村功を保護するなんてこと眼中になく、木村を泳がせて(囮にして)やがて目撃者を消そうとしてやってくる犯人を捕まえようと張り込みするわけです。とそこへ、壊れたラジオを抱えた男・宮口精二(当時43歳)がやってきます。宮口はラジオを差し出し「ここで待っているから直してくれ」と木村の目の前に座り、机の下からピストルを向けます。そう、まもなく夜の7時20分。すべての音を消し去る蒸気機関車音が近づいてきます。ま、ある意味のんきな犯人は機関車の音に紛れて撃ちたくて(にしても10分くらい前から居ます)。木村は何も知らない妻にマッチ棒で「ニゲロ(逃げろ)」のメッセージを見せるが「?」。外で張り込む志村喬と土屋嘉男はピストルが見えないもんだから手が出せず。さあさあ機関車が間もなく頭上にさしかかります、木村功の運命や如何に!?






宮口精二 (1913-1985) 写真は2年後公開の 張込み (1958) 監督 野村芳太郎 より。この時は刑事。






確かに今の感覚では「おいおい〜」なところありますが、サスペンスとしてとても見応えのある佳作という感じでした。それにしてもヒステリックなまでに警察を信用しない津島恵子を観ていて思い出したのが、米アカデミー賞外国語映画賞を受賞したものの、トランプ大統領の移民政策などに反発して受賞ボイコットをしたイラン映画「サラリーマン」。この映画は現代のイランの首都・テヘランが舞台ですが、主人公の妻がちょっとした不注意で自宅に男を入れてしまい、乱暴されたものの「レイプされたことの世間体」と「警察になんか訴えたところで何なる?」と被害者である妻が、頑に心を閉ざしてしまうという内容でした。戦後8年の東京と現代のイラン。時代変われど国家権力への信頼度って大切なんだな〜としみじみ。







夫婦愛の深層心理。イランという国民性、男女それぞれの理想像の違いみたいなものが感じ取れた秀作です。


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津島恵子が良かった。モノクロなのに色を感じるというか。そうか30歳の色気か?で、その3年前に時計を戻して、彼女の代表作の一本を次に紹介します。









2018年 3月1日
ラピュタ阿佐ヶ谷 ”石上三登志スクラップブック刊行記念 ミステリ劇場へようこそ” にて観賞









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