ひめゆりの塔 (1953) 監督 今井正






ストーリー「映画データベース all cinema」




続けて津島恵子出演作を。そしてこれよりしばらく「戦争映画」を続けます。こうして「戦争」を何らかの形でリアルに体験してきた人たちが作った映画だからこそ、作り手の体験を通じた「戦争」への思いだったり、それを言うなら公開当時大ヒットしたらしい観る側にだって共通の思いがあったはずで、現代の平和が当たり前、安全・清潔ニッポンに暮らす私たちの感覚では、本当の意味での「戦争」はとてもとても簡単には計り知れないものがあることを、戦争映画を観るたびに痛感します。今回、主演女優の香川京子さん特集上映の機会にようやくこの「ひめゆりの塔」を拝見して、香川さん自身もこの映画出演を機に実際の「ひめゆり学徒隊」生存者たちと交流をし、戦争を語り継ぐのが使命だと仰っておりました(トークショーがあったので)。ですから残されてあとを生きる私たちにも、その事実や作品を語り継ぐ使命があるのだと感じます。






劇場で張り出されていた当時の解説&ストーリー








お国のために働こう。日本が負けるハズがない。鬼畜米英。国をあげての洗脳は、大都会から遠く離れた沖縄という島でも徹底されていました。そして南方の島々が次々に陥落し(それを民衆は詳しく知らされることがないまま)それでもなお、本土からの応援・迎撃があることを信じて疑わず、合流・増兵するまでは決死の覚悟で島を守り、立ち向かうのだという「常識」。そこに生きた「ひめゆり学徒隊」と教師たち、その親たち、農民、民衆、そして兵隊・軍人たち。ラジオからもろくな情報が流れない。とっくに見捨てられたことを知らぬまま、彼らは島の中をひたすら背走するように行進します。







中央:先生役の津島恵子(当時27歳)








暗い重いだけの映画かと思いきや、見て下さいこの笑顔。女子中学生を中心とした出演者が多数なので、たとえば絶え間なかった米軍の攻撃がなく、ひょっとしたらここで救われるかも?みたいな一縷の望みを感じさせる、年頃の女の子たちの生命の煌めきを感じさせるようなシーンもありました。 ↑ 上写真は小川にみんなで飛び込んで、久しぶりに泥だらけの体を洗いつつ水遊び。 ↓ 下写真は沖縄のエイサーかカチャーシーを踊って場を盛り上げる(左:香川京子 当時22歳)シーン。














終盤で彼女たちが辿り着いた村、そこではまだ米軍の襲撃はなく、村人たちと交流しながら村で穫れた白米や野菜を久しぶりに食します。そして香川京子たちは穫れたてのキャベツを手に取ってバレーボールに興じます。そんなシーンをある生存者は「そんなことはなかった」と言い、ある者は「そんなこともあった」と回想することを香川さんの著作に書いてありました。事実がどうあれ、それが戦時でなければ普通の、子どもたちの当たり前の姿が描かれていることが、転じて無慈悲なまでに生と死の崖っぷちを彷徨するしかない生活とのコントラストに背筋が凍ります。救いがない、その事実を見るしかない感じるしかない130分。観終えてしみじみと感じたのは、国が起こす戦争は、ことごとく民衆を狂わせ食い尽くすものでしかないということ。






サイン本持ってます♡


凛たる人生 映画女優 香川京子







該当部分「凛たる人生 映画女優 香川京子(ワイズ出版)」より。







写真、同書より。








大好きな 渡辺美佐子 Wikipedia (当時21歳)のデビュー作でもありました。観る前に果たして認識できるか心配してたのですが、さすが後年その独特の色気で 例えばすでに紹介した 「競輪上人行状記」 (1963) 監督 西村昭五郎 とか 「東京アンタッチャブル」 (1962) 監督 村山新治 とか 「あした晴れるか」(1960)監督 中平康 とか 「私は二歳」(1962) 監督 市川崑 などどれをとっても助演で、出番も少なめなのに他には絶対代えられない存在感がこの作品にもありました。不謹慎で申し訳ないのですが、死に瀕する役柄にその「ザ・渡辺美佐子」の横顔を見た気がしました。







渡辺美佐子(1932-)







ひめゆり隊を率いるようにして移動する軍医、藤田進(当時41歳)。人望厚く女性にも優しかった彼なのに、戦争とは恐ろしい、哀しい、むなしいラストが待っています。先にも書きましたが救いが無い、しかもそこに感涙を誘うような音楽もない、沖縄という日本の島で、唯一の地上戦に晒され散って行った名もなき人たちの物語。機会があれば是非の観賞をおすすめします。







ひめゆりの塔 Wikipedia







2018年 3月22日 
池袋・新文芸坐 ”女優人生70年企画 香川京子映画祭”にて観賞










Amazon プライムの動画配信で見る!(この文字クリックして検索!)





DVDで是非!


ひめゆりの塔 [DVD]






映画のヒットを機に数多くの作品が生まれました。 

1962年


太平洋戦争と姫ゆり部隊 [DVD]






1968年


日活100周年邦画クラシック GREAT20 あゝひめゆりの塔 HDリマスター版 [DVD]







1982年、今井正監督によるリメイク版。


映画パンフレット 「ひめゆりの塔」 出演 栗原小巻/古手川祐子/田中好子







1995年。


映画パンフレット 「ひめゆりの塔」 監督/ 神山征二郎 出演/沢口靖子・後藤久美子







Japan Movie