赤い殺意 (1964) 監督 今村昌平







賛否両論レビュー allcinema.com





傑作です。

未見ですが 「豚と軍艦 (1961)」 を発表し、評価された今村昌平が日活に「次に」と持ち込んだ企画がこれ。 しかしなんと拒絶され、さらに 「にっぽん昆虫記 (1963)」 の企画も一旦は拒否され、すなわち干された感じで収入もままならず大変な中、なんとか先に「にっぽん昆虫記」を映画化にこじつけ、それがヒット&国際的評価があってのち、ようやく製作できるようになった1本だったそうです。







公開当時の解説(ネタバレ)










いやこっちのほうが面白かったです。やっぱ監督の執念だと思います。主演女優・春川ますみ(当時29歳)が超絶素晴らしい。美人でもなく肥満体で、だからこその屈折したような色気、だらしなさげなエロス。最強でした。およそ二年後公開の  「脅迫 おどし (1966) 」監督 深作欣二 を先に観ていたので、それもいわゆる(狙いとしての)ブス・デブなのに、妙にそそられる”色情”みたいなものがあり、室田日出男に犯されそうになってました。






春川ますみ(1935-)







豪族の跡取りで東北の山奥に大邸宅を持つ西村晃(当時31歳)、その妻が春川ますみなんですが、実はますみさんは西村晃の父親の妾の子どもで、西村の母は憎悪あらわに使用人としてますみさんをこき使い、西村がついしてしまって子どもを作ってしまったことから、一応夫婦なんですが、西村の母が戸籍上妻として認めていないという関係(よって財産相続権利なんかも与えられていないということ)。その件に関して西村晃は母の言いなり、でもって田舎暮らしが嫌で東北大学の図書館司書として働いてちゃっかり不倫なんかもしております。


西村晃(1923-1997)この前年に 「十三人の刺客 (1963)」 監督 工藤栄一 出演、1964年に出た作品では 「五瓣の椿 (1964)」 監督 野村芳太郎 と 「幕末残酷物語 (1964) 」監督 加藤泰 を観賞してました。どれも印象に残るクセのある演技、最高です。 









映画の冒頭、長年使用人扱いされて「感情」を持たない、知恵おくれにさえ見えるふわふわした春川ますみを、西村晃もその母親も責めるようにして接し、春川ひとりを残し、小学生の息子を連れて東北駅から帰省する3人。残された春川は留守番でひとり家に戻ります。そこに駅からつけてきた眼光鋭い若者・露口茂(当時32歳)が包丁片手に押し入り強姦。翌朝ボロボロに傷ついた春川が嗚咽しながら冷水で体を洗うシーンの切なさ。夫と姑からは妻扱いされず、しかし「妻」として良妻賢母を目指し献身していた春川にとってそれはそれは衝撃的で屈辱で、身を清めたあと近くを走る貨物列車に身を投げようとまでします。












自殺は出来ない、息子に会いたい、帰ってきた夫は荒らされた部屋と体の傷を問いますが「転んだのよ」と何とかかわし、本当のことなんてとんでも言えません。そんなある日、春川の友人が仲間を集めて新式のミシンを使い、洋裁教室を開こうと奔走します。その過程で春川が置かれている状況を心配する友人が、「これからの時代、女性も手に職を持って」「入籍して、のちの財産の権利も訴えるべき」などと言われるものの「私なんて・・・」と乗り気になれない春川ますみ。













そこへまた、奴(露口茂)が戻ってきます。そして強引に関係し、さらにことあるごとにつきまとうようになってきます。さあ、ここからあとどうなるかは是非ご鑑賞頂きたいのですが、「感情」を持つことを許されないように育って来た春川ますみが、露口茂とのセックスで(最後まで決して能動的に受け入れず、常に抵抗しての関係だったんですが)徐々に「女性」を開花させていくような、同時に因習などから逃れ母として生き主張する気持ちへの芽生え。言葉足らずな役柄なのでそれらの変化も台詞ではなく、動きや表情でビミョーに味あわせて行く感じ。もの凄いラストへの疾走感含めこれ以上は語れません。必見です。







露口茂 (1932-) テレビ「太陽にほえろ」ヤマさん役で有名すぎ。この翌年 「霧の旗 (1965) 」監督 山田洋次 で倍賞千恵子のあわれな兄役、その3年後 「スクラップ集団 (1968) 」監督 田坂具隆 では眼をキラキラさせた(お肌もつるつるした)感じがとても爽やかでした。









2018年 4月24日
池袋・新文芸坐 ”日本映画 巧みの技 VOL.4 白黒(モノクロ)映画の美学” にて観賞











Amazon プライムの動画配信で見る!(この文字クリックして検索!)






中古品、8万円って!


赤い殺意 [DVD]





VHSなら


赤い殺意 [VHS]









Japan Movie