2.犬神家の一族(76)/八つ墓村(77)



あれは中学2年の夏、書店の平積みに黒縁取りの文庫本がズラリと並んでいた。不気味な絵、青白い顔、裸の女・・その中から帯付きの一冊を手に取った。
「角川映画第1弾、今秋公開!」
それから3夜、私は本を置けず寝不足に。推理小説の面白さを知った。それが横溝正史「犬神家の一族」だった。
映画も待ち望んで、母と一緒に行った。(その頃中学生は保護者同伴でないと映画館へ行けなかった)
小説の方が面白いや、と感じた。期待が大き過ぎたのか、あるいは犯人を知っていたせいか、と反省した。
それでも、市川崑監督独特の小刻みなカット割り、一度聴いたら忘れられないテーマ曲、「よし、わかった!」と言って粉薬を吹く警部・加藤武などはクセになり、以後シリーズ4作全部観た。
当時異例の1年余りの早さで「月曜ロードショー」がやった時は、ビデオのなかった時代、ラジカセに音だけ録って何度も聴いた。台詞はほとんど覚え、リメイクするなら出演出来るくらいになった。
「俺は犬神一族に勝ったんだぁー」by青沼静馬
「あの人のこと、忘れられない・・」by猿蔵
「佐清(すけきよ)!この薄情な人たちに、頭巾を取っておやり!」
これは流行ったよね。

07年にリメイクされた。全く同じだけど、かなり違ってた。セリフのテンポとかが全然違う(覚えてるもんで)。やっぱりオリジナルがいい。


「八つ墓村」は翌年秋。
母離れし、初めて一人で映画館へ行った。満員の岡山松竹へ恐る恐る入った途端、スクリーンで多治見家が炎上し、念仏を唱える老婆(乙羽信子)の姿と、山頂から火事を見下ろし、ほくそえむ八人の落武者(夏八木勲や田中邦衛)を観た。
このシーンが最初に焼き付いたせいで、数ある横溝原作映画の中で、私はこれが一番怖い。今でも時々落武者の亡霊が夢に出る(ウソ)。
恐らくこの映画の最大の欠点は、犯人がバレた時突如般若に変わって、洞窟を追い掛けて来るシーンの滑稽さだと思う。
金田一耕助は渥美清だが、やはり違和感がある。出番が少ないのが幸い。でも、ラストはお茶を喉に詰まらせて笑わせる。やっぱり○○さんだ。
「いいかい、それを言っちゃあおしまいよ!」

これも、後に市川崑監督版が作られたけど、やっぱり最初に観た方(野村監督版)が良かったな。