認知症って病気なの?どうすれば治るの?

そもそも認知症ってなに?

人は外からの刺激を目や耳、鼻などを通してそれが何であるかを過去の記憶や経験に照らし合わせて判断します。心理学では目や耳、鼻などから受け取った情報を照らし合わせることを「認知」と呼びます。(広い意味では、情報を受け取ることも含みます)

人は歳をとったり特定の病気になると脳が縮んでいきます。これを萎縮と呼びますが、脳が萎縮すると情報を受け取ったり照らし合わせることが上手く出来なくなります。この状態を「認知症」と呼びます。認知症になると、情報の受け取りや照らし合わせが上手くいかず日常生活でトラブルが起こることがあります。

例えば、「同じ建物の中に居る」「女性」という情報から過去の記憶の中にある「結婚した」「ずっと一緒に暮らして来た」といった情報から『この人は自分の妻だ!』と判断しているのです。しかし、認知症になってしまうと、記憶の中にある「結婚した」「ずっと一緒に暮らして来た」といった情報を上手く引き出せなくなります。そうすると「同じ建物の中に居る」「女性」という情報だけで判断しないといけなくなるので、初めて会った様な対応になったり、泥棒と勘違いして大騒ぎしてしまうのです。

認知症って治るの?

脳が萎縮して情報の受け取りや照らし合わせが上手くいかなくなる状態を「認知症」と呼ぶ、とお話ししましたが中には手術や薬で改善できるものもあります。人が歳をとって現れる老化に伴うものであれば難しいかも知れませんが、病気が原因のものであれば可能性はあります。

正常圧水頭症
人の頭の中には「脳」と「水(脳脊髄液)」しかありません。しかし水の量が増えると脳を圧迫してしまい、不具合が出てきます。そのなかに「認知障害」が含まれています。

慢性硬膜下血腫
頭蓋骨の下にある硬膜と脳の間に血が溜まっていく病気です。溜まった血が脳を圧迫して頭痛や物忘れ、認知症の症状が出たり歩きづらくなります。


脳腫瘍
頭蓋骨の中に出来る腫瘍の総称です。腫瘍の出来る場所によって症状が変わってきます。腫瘍が大脳を圧迫すると、言葉を上手く発音できなくなる失語症や記憶障害などが起こります。

甲状腺機能低下
体の新陳代謝をコントロールするホルモンを作っているのが甲状腺です。この甲状腺の機能が低下すると代謝が落ちて無気力や物忘れ(認知症の症状)が現れます。

栄養障害
脳が活動するにはブドウ糖が必要で、ブドウ糖以外は脳が活動するエネルギーに使えません。このブドウ糖は炭水化物や砂糖などの糖分を吸収・分解して作られます。しかし、ブドウ糖は蓄えて置けないので常に補充する必要があります。食事の内容が偏っていたり、食べる量が足りてないとエネルギー不足になり認知症として現れることがあります。

アルコール(お酒)
アルコール(お酒)を大量に飲んでいるとビタミンB1欠乏による栄養失調が起こり、周りの状況が分からなくなる、物忘れや作り話などの認知症症状が現れます。



上記の病気に伴う症状として認知症の症状が現れた場合は、元となる病気の治療がきちんと行われれば認知症の症状も改善していきます。

治る認知症と治らない認知症

上記の様な病気の症状として現れる認知症は適切な治療によって改善が可能です。しかし、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、血管性認知症など治療法や薬がない認知症もあります。

治療法のない認知症に対しては、言葉使いや接し方を工夫したり、行政や介護士・ケアマネジャーといった専門の人たちに助けてもらいながら生活しています。福祉の分野は大きな課題が山積しているのが実情です。認知症を持った人が交通事故で亡くなったり、認知症の人のめんどうを見切れなくなって暴力を振るったケースも聞かれます。介護士が暴力を振るった話もあり、同じ介護士として心苦しいものがあります。

認知症にはいくつもの種類があります。病気の症状一つとして現れるものも合わせればもっと増えます。福祉の現場で働く場合はもちろんですが、認知症を持つ人を家族や友人に持つ人たちにも認知症の知識は必要となってくるでしょう。