ともしび (1954) 監督 家城巳代治






ストーリー Movie Walker





素晴らしい。女優・香川京子映画祭で、監督・内田吐夢の作品を目当てに入場し、その二本立ての一本で別監督作品だったので、まったく期待も調べもしないで観賞。・・・やられました。相当、打ちのめされました。素晴らしい。今回初めて白状しますが私は実は、映像業界に身を置き長く暮らしたことがあるので、集団劇における「子役」を、どう演じさせたり演出するのか?ということの難しさと奥深さを、痛いほど身に沁みて感じていたので、この映画に登場する子どもたちの(もちろん大人たちのリードあってこそですが)演技がいかに自然で作品に沿っているかということに、観賞しながら痺れまくりでした。もし、元の私のようなクリエイター・ディレクター、それらを目指す方がこれを読んでいるのならば、是非の観賞をおススメします。














1950年代。テーマは貧困と教育です。と書くと、重い暗いつらいイメージがありますが、それがからっとしていて、つまり貧しいことは当たり前なのでという空気感。学校に通う子どもたちの、それぞれの生活環境にも差があって、例えば親が「教材などお金が掛かるから学校へ行くな!畑仕事手伝え!」とか叫んだり、昼食のお弁当を持って来ている子と持って来れない子がいたり。







撮影風景。 写真は『凛たる人生 映画女優 香川京子』ワイズ出版より







田舎の寒村にある小中学校。花澤徳衛(当時43歳だけどさらに爺メイク)演じる村一番の実力者の銅像除幕式から映画は始まります。全生徒整列し、校長らが挨拶し、花澤徳衛をよいしょして大いに盛り上げて、花澤「えっへんおっほん」よい気持ち。そしてせーので掛かっていた白布をはがします。お披露目されたブロンズ像の花澤徳衛。大拍手!のはずが、その顔がそっくりすぎて可笑しくて、あるクラスの生徒が笑い出します。と、それにつられて校庭じゅうが大笑いの渦になります。慌てる校長、教育関係者。当の花澤は何で笑われているのかが分からず憤ります(古い固い人間なんです)。







↓ 花澤徳衛(1911-2001)写真を検索したら、山ほど映画のポスターが出てきますが、一枚たりとも映ってない(笑)。ずばり最強のバイプレイヤーってこと。 「点と線 (1958) 」監督 小林恒夫  で目撃証言をする果物屋のおっさんとか、わずかな出番で強い印象を残す役者さんです。








この映画における花澤徳衛は茶目っ気なし。子どもたちに笑われいじられてしまったことに激怒するんだから。「このワシを誰だと思っているのじゃ!」なので校長とか先生たち必死でなだめようとします。そして花澤は、笑われた原因は最初に笑った少年がいるクラスの教育方針にあると断罪します。そう、古くて固いじいさんで、大地主で、恐らく戦争中も財を成して村の繁栄に勤めたというプライドがあるのでしょう。さらに曰く、「昨今は民主主義とかいうものの影響で自由とかを謳い、日本人本来の礼節を忘れてしまっておる。放っておくと共産主義の思想に感化されてしまう、教育の危機だ!」と校長以下をどやしつけ、少年がいたクラスの担任・内藤武敏(当時28歳、若いっ!)を「アカ」と決めつけ吊るし上げ、左遷します。






ザ・内藤さん(1926-2012)この方も地味だけど欠かせないバイプレイヤーでした。







内藤武敏が他の学校に飛ばされ、困ったのは子どもたちです。なぜなら内藤先生は授業料が払えない子どもたちの家庭を廻って教えてくれたり、自己主張することの大切さや自由奔放さや明るさユーモアなどを教えてくれていたからです。代わりの教員がクラスを仕切ろうとしますが子どもたちは言うこと聞きません。教員は体罰をして強引に従わせようとしますが、最終的に子どもたちは結集し、生徒大会において校長一派らと対峙することになります。そこでのやりとりを観ていて、教育とは、大人たちの都合に子どもたちを合わせることなのか?と。まさにでもそれが日本教育界の縮図で、私自身もそんな義務教育時代があったと思い出しました。







VHSカバー。こんな若くて(台詞が多い)内藤武敏さん。







理屈とか道理とかいう言葉ほど、子どもたちにとって大いに理不尽で不合理なものでしかないこと。きっと大人同士ならそこで戦争になるような思想の違い。ちょっと書いていて重くなりましたが一番先に書いた通り、子どもたちの演技が自然で素晴らしく、ほかにも色々エピソードがあるのでほんとおススメします。独立プロ映画保存会なるものがあることに感謝。残すべき映画です。







客寄せ的な役割も絶対あったと思う香川京子さん。美しく切ない芝居でした。








2018年 3月22日
池袋・新文芸坐   ”女優人生70年企画 香川京子映画祭” にて観賞











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