野獣の青春 (1963) 監督 鈴木清順

ネタバレレビュー allcinema
おいおい!そんな無茶な〜とか突っ込みながら楽しめた快作。割とストーリーが複雑に絡み合っているので若干ややこしいところもあるのだが、この時代にこのノリでぐいぐい行くところ、さすが鈴木清順組と感服。何より主役の元刑事・風船ほっぺの宍戸錠(当時30歳)のやんちゃっぷりが良い。彼の存在感というかオーラに名優・怪優たちがしっかりと脇を固めて成り立っている感じ。また美術・照明もナイス。映画館の建物の中にやくざの事務所があり、シリアスなやりとりをする部屋の窓から西部劇映画のスクリーンが見えていたり、冒頭、ジョーがやくざのキャバレーに殴り込み連れて行かれた半地下の事務所からは、マジックミラー越しにキャバレーの踊り子さんたちや客たち(ガラスの向こう側なので無音)の喧噪が見えたり。このシーン、かなりワイドに撮っていたのでセット凄いなエキストラ凄いなと心の中で拍手喝采して観てました。

さて、カルトな映画なんだけど、中身はそれほどマニアックすぎず、映像アイデアや見せ方のこだわりなんかを感じながら観るも良し、単純に楽しんで観るも良し。で今回取り上げておきたいのは初代「ウルトラマン」隊長:キャップ小林昭二(あきじ・当時33歳もっと老け役)。暴力団の黒幕みたく静かにサディスティックに奥さん妾さんDV(鞭でしばく)当たり前、 ↑ 写真分かりにくいので ↓ 下に貼りましたが、これ小林昭二が口を割らない宍戸錠の爪と指先の間にナイフぐりぐりしているところです。

そしてネコを抱いてニタニタしたり、暴力の後はセックスとか変態丸出し。とこれを観ていて果たしてそうゆう悪役像は007シリーズのパクリ?と思って調べてみたところ、すなわち歴代007シリーズの中でもダントツ人気の悪役と言えば ↓ ドナルド・プレザンス(1919-1995)!

ご覧のとおり猫抱いててキチガイぷりが記憶に残りましたが、この「007は2度死ぬ(ついでに言うと浜美枝がボンドガールだった)」は1967年(野獣の青春より4年後)の公開。ということは007が小林昭二をパクったことになるのではないかと。少なくとも007シリーズ第一作のみ前年公開だったので、ひょっとするとひょっとするかもと嬉しくなりました。
小林昭二 (1930-1996) Wikipedia ↓ ウルトラマン(1966~)が先にあったら、きっと演じていなかったと思うくらい変態仮面でした。

これを書いている2018年、フランスで鈴木清順レトロスペクティブが開催されたとのこと。時を経て見直されるべき快作。川地民夫・渡辺美佐子の怪演にも触れたかったのですがまた今度。

鈴木清順レトロスペクティブ 紹介記事
鈴木清順レトロスペクティブ Spot YOUTUBE
「野獣の青春」予告編 YOUTUBE
2018年 3月13日
ラピュタ阿佐ヶ谷 ”石上三登志スクラップブック刊行記念 ミステリ劇場へようこそ”にて観賞

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