娘の中の娘 (1958) 監督 佐伯清








ストーリー Movie Walker





美空ひばり×高倉健×佐伯清監督 2本目。

「恋愛自由型 (1958) 」 がこの年、昭和33年4月公開で、この「娘の中の娘」は12月。高倉健さんの資料を調べてみると、二年前の1956(昭和31)年1月公開「電光空手打ち(前編)+流星空手打ち(後編)」で健さんは銀幕デビューを飾り、56年→11作品出演。57年→9作品出演。そしてこの年58年→12作品出演。前項で書いた通り、僕たちの多くが知る「ザ・健さん」に至るには遠い昔、二枚目&コメディもやります時代の、とってもレアで初々しくて気恥ずかしくも感じる健さんがフィルムに焼きつけられております。














この同じ年、「娘の中の娘」の前作には、 「森と湖のまつり (1958) 」監督 内田吐夢 (11月公開)があり、そこでは硬派で屈折したアイヌ青年役を熱演していたのですが、この時期の健さんはおおむね軽い役柄が多く、また前年11月公開の「青い海原」で初めて美空ひばりと共演してから、二人の共演作が目白押しになってきます(その後の共演作は20本近くにのぼります)。さらに翌年2月には歌手で俳優・スタアの 江利チエミ Wikipedia (1937-1982) と結婚しています(二人のその後に関しては独自に検索してみて下さい(哀)。








江利チエミ 波乱の生涯―テネシー・ワルツが聴こえる







さて話を戻して、1958年の美空ひばり×高倉健の共演作は他にも3本あり、計年間5本になります。戦後復興から自由民主主義・女性地位向上が謳われる時勢に、この二人のスタアの姿は、庶民たちの羨望の眼差しを浴びる以外の何者でもないような気がしました。つまり銀幕で繰り広げられる恋物語、生活ぶりはとうてい庶民には届かないようなものばかり。しかしそれが良かったし、それを求めて多くの人が劇場に足を運んだと想像します。それでなければ年間5本も立て続けに作りませんよ、ね。













「恋愛自由型」 で書いたとおり、監督が同じ人ということもあり(という表現はおかしいかもですが)お話の構造が同じ。で登場する3組(今回は5組)のカップルがラストにめでたしめでたしとなって、それぞれ腕を組んで歌って終わりなんですが、この映画の美空ひばりはシングルファーザー山村聰の娘役。可愛い素直な弟と3人家族。大好きな父に早く再婚して欲しいと願ってあれこれするうちに、自分は高倉健と結ばれるという物語。これを庶民が憧れる生活ぶり、という視点で観てみると、ひばりさんが住む家は中くらいの豪邸。玄関横には洋間のティールームがあって、お手伝いさんがいて、当時としては当たり前じゃなかった電話があって、ご用聞きが野菜やお酒を配達してくれて何不自由ない暮らしっぷり。お嬢様のひばりさんも学校を出て働く必要ないけれど縁あって一流企業の面接を受けて合格、オフィスガール(事務)となりました。







こんなルックス♡








ところでこの時代、今で言うOL(オフィスレディ)がオフィス・ガールで、4年後の映画 「B.G物語 易入門 (1962) 」監督 富本壮吉  ではBG(ビジネスガール)と呼んでいて、いつからOLが一般的になったのだろう?

それはさておき、OG役の美空ひばりがやることと言えば早く出社して雑巾がけ、電話応対、そしてお茶汲み。つまり会社における女性の役割なんて、今で考えると1万光年遅い感じでそれが当たり前だったりするわけで。そして早く(有望な)男子社員をゲットして寿退社することだったりするのです。













面白かったのはお昼休み。たぶん丸の内オフイスビルの屋上、お弁当食べる社員たちの横ではなんとフラフープに興じる社員たち!  「BG物語」  では男女混じってバレーボールしていた風景が微笑ましかったのですが、この映画では黙々と腰を振るビジネスマンたち(笑)。








おおお、一時期「腸捻転」になるから危険とされたフラフープ、今じゃダイエットすか。



46歳人生で一番ナイスバディになりました (バンブーエッセイセレクション)








もうひとつ、きっちり仲違いしてしまったひばりさんと健さん、仲立ちあって勝鬨橋で再会します。おお〜このサイトでも 「東京の恋人 (1952) 」監督 千葉泰樹 や 「洲崎パラダイス 赤信号 (1956)」 監督 川島雄三 で紹介したように、現在は開かずの跳梁橋がググーンと閉じて来て、二人ご対面♡となります。貴重な映像です。








ひらけ!勝鬨橋 (角川文庫)








そしてラストは富士山バックで。


富士山 (楽学ブックス)








恐らく何日か天気待ちしたのでは?と思いたくなるほど快晴美麗な富士山をバックに、めでたしカップル歌って終わり。お疲れ様でした。

以上、このニ作品合わせて能天気な映画ですが当時のファッションと風景、そして実は今でも残る男尊女卑な感覚や女性の地位、感性などを垣間みるにはとても興味深い一本でした。







Youtubeに歌唱シーン抜粋あります。冒頭キッチンで歌うひばりさん♡

♪ 大根切るのをマンボで切れば〜 お皿に盛るのはロカビリー 

と、人参使ってエアギターするなんてレアなひばりさん。是非クリックしてご覧下さい。健さんとのしっとりしたデュエットも♡。




娘の中の娘(1958)/美空ひばり






2018年 9月14日
ラピュタ阿佐ヶ谷 ”絢爛 東映文芸映画の宴”にて観賞











Amazon プライムの動画配信で見る!(この文字クリックして検索!)






VHSあります。


娘の中の娘 [VHS]









Japan Movie