MIFUNE THE LAST SAMURAI (2016) 監督 スティーブン・オカザキ






ストーリー&レビュー




このサイト初の、一応、洋画です。

その存在の大きさのわりには、今まであまり語られることのなかった気がする三船敏郎を取り上げた、良質のドキュメンタリー。監督は日系人のスティーブン・オカザキさん。ここ3年、古い日本映画にハマり、このようなサイトで日々自分勝手なレビューを書く身としては、やった!よくぞ作ってくれた!と喝采したい気分。







MIFUNE THE LAST SAMURAI 公式サイト(予告編付)







残念なのは本人の語りがないこと。彼を知る、おもに彼と同じ時代を駆け抜けた関係者のコメントで構成。しかしアメリカ公開は2015年なので、その時点で存命だった土屋嘉男さん、夏木陽介さん、加藤武さん、中島春雄さんらの声が収められているのは貴重。そして特に黒澤明監督との関係がクローズアップされ、「羅生門」「七人の侍」「蜘蛛の巣城」などのフッテージが随所に。






左:三船敏郎 (1920-1997) 右:黒澤明 (1910-1998)









「赤ひげ (1965)」 を最後にこの二人の競演はありません。三船は自身のプロダクションを立ち上げ、斜陽化進む映画界とは別に、テレビ映画の製作や出演が増えました。そして海外からのオファーも届きます。一方クロサワは紆余曲折を繰り返しつつも大作を作り上げていきます。このドキュメンタリーを観賞していて、きっとこの二人は一蓮托生すぎたというのか、蜜月が過ぎての別離が必要だったのではないかと推察します。つまり、きっとどこかでもう一度合いまみれるべき、熟成を経たあとの競演を考えていたのではないだろうかと思うのです。特にミフネは、クロサワからのオファーを待ち続けていたのではないかと。それが晩年の、あまりにも寂しい姿に現れている気がしました。














女性の出演があまりないと言われる黒澤映画にあって、最多5本に出演した香川京子さんが、三船敏郎の葬儀で読まれた黒澤明からの弔辞を、映画のラストで朗読しました。この映画、是非観て欲しいのですが、弔辞の抜粋を見つけたのでコピペします。


三船君

   きようは君の葬式だというのに
  僕はそこへは行けない、ということを、まず、謝ります。
  いまだに足の具合が悪くて、表に出られないのです。
  僕もこんなに辛い思いをしたことはありません。


  (略)


   僕が三船君の事を思う時
  『酔いどれ天使』の松永だったり、 『七人の侍』の菊千代だったり
  『用心棒』の三十郎だつたりするのだ。
  彼らはいつまでも僕の心の中に生きているのです。


   だから、三船君が、この世からいなくなったとはどうしても思えない。
  昭和21年、敗戦直後の日本は、活気にあふれてた。


(略)


   僕の『酔いどれ天使』で主役を演じました。
  その時、僕は、今までの日本の俳優に見られなかった、
  三船君のスピーディな演技にド肝を抜かれました。
  それでいて、驚くほど繊細な神経と、デリケートな心を持っているので、
  荒っぽい役でも、単なる粗暴な性格にならないところが魅力でした。


   とにかく僕は、三船という役者に惚れ込みました。
 『酔いどれ天使』という作品は、三船という素晴らしい個性と格闘することで
  僕はやっと、これが俺だ、というものが出来たような気がしています。


   もし、三船君に出会わなかったら、僕のその後の作品は
  まったく違ったものになっていたでしよう。

   僕たちは、ともに日本映画の黄金時代を作ってきたのです。
  今、その作品の、ひとつ、ひとつを振り返って見ると
  どれも、三船君がいなかったら出来なかったものばかりです。


    君は本当に よく演(や)った と思う。

   三船君、どうもありがとう!


    僕はもう一度、君と酒でも飲みながら、そんな話がしたかった。


   さようなら、三船君、また会おう。



             一九九八年一月二十四日

                          黒澤 明










涙が出てきます。だからせめて残された我らは、ひとつでも多く観て、語り継いでいかなければいけないと思うのです。二本立て特集でやってますので、次回は三船敏郎主演映画を。








▶︎現在までこのサイトで紹介した三船敏郎主演作品(紹介順)


「白痴 (1951)」 監督 黒澤明 

「座頭市と用心棒 (1970) 」監督 岡本喜八

「下町 ダウンタウン (1957) 」監督 千葉泰樹

「待ち伏せ (1970) 」監督 稲垣浩

「東京の恋人 (1952)」 監督 千葉泰樹

「用心棒 (1961) 」監督 黒澤明

「悪い奴ほどよく眠る (1960) 」監督 黒澤明

「どん底 (1957) 」監督 黒澤明

「赤ひげ (1965) 」監督 黒澤明

「独立愚連隊 (1959)」 監督 岡本喜八

「暗黒街の対決 (1960) 」監督 岡本喜八








2018年 5月15日
有楽町スバル座にて観賞

↓ スバル座のポスターに寄せ書きされたサイン。










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今のところ海外版。


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