東京暮色 (1957) 監督 小津安二郎







ストーリー&レビュー allcinema





小津安二郎続けます。





渋い映画でした。





じわじわ心を打つ感覚は、先に紹介した 東京物語 (1953) 同様。
血は流れない、車がクラッシュするようなこともない。互いの要求を醜く罵り合うこともない。なのにたまらなくドラマチックなんです。







当時の解説。







↑ ここで言う「大船調」とは、調べて見ると松竹・大船撮影所で作られた作品を示す言葉で、暴力や裸を描かず家族で楽しめるもの。加えて言えるのは、その後テレビを中心に今なお使われる「ホームドラマ」の典型。「家族」のある姿を暖かく、時に冷徹に、リアリティをもって垣間見せて行くと言えようか。











2回観ました。

4月と、二ヶ月後の6月に。

一回目は通常プリントのもので、正直モノクロ画面とその内容に「暗い」印象を受けました。

二回目は「4Kデジタル修復版」。

二回目なので余裕を持って観賞出来たおかげで、よりお話に没入できて。で何と言ってもデジタル版の美しさに痺れました。






↓ キャスト







妻に逃げられ男手ひとつで娘二人を育てあげ、銀行の役職に就く笠智衆。長女(原節子)は文筆家に嫁ぎ一子をもうけるものの、夫婦仲をこじらせて幼子抱えて帰ってきました。次女で女子大生の有馬稲子は、そう不良ぽくないけど、ある程度悪びれたグループと交際していて、その中の男と関係し妊娠してしまいます。物語は今書いた状況からスタートします。





左:小津安二郎(1903-1963) 右:有馬稲子(当時25歳)








有馬稲子はひたすら関係した男の姿を追い求めます。男はのらりくらりと立回り先に現れません。稲子ちゃんも男と会ってどうしたいのか?堕胎するのか?するなら費用などどうするのか?そしてこうなってしまった状況とは一体何なのか?若すぎる男女の、言葉にし尽くせない葛藤が続きます。












長女の原節子も葛藤を抱えています。旦那との関係がうまく行ってないのです。父親の笠智衆は、そんな原節子を優しく見守ります、この距離感が素晴らしい。そしてこっそり婿に会いに行っても、決して激昂したりせず、そっと夫婦の行く末を案じます。そんななか、有馬稲子が立ち寄る麻雀屋の経営者の女が、実は家族を捨てて駆け落ちした、姉妹にとっての実の母親だったことが分かります。






左:原節子 (1920-2015) 右:実の母役・山田五十鈴 (1917-2012)






醜く罵り合うことはない、と書きましたが、あります。ただそれが魂の叫びなので汚くないのです。原節子は身分を隠す母親・山田五十鈴に「次女に母親であることを明かさないで欲しい」と懇願・説得します。この時の山田五十鈴の情けない表情がたまりません。浮気して娘ふたりを残して家を出た過去を後悔し、背負って生きているとはいえ、血のつながった娘と再会するなり「母親として認めない」と絶縁状を叩き付けられたわけですから。











原節子も笠智衆も、次女の稲子ちゃんが妊娠しているなんて知りません。稲子ちゃん誰にも言えないまま(不良仲間は感づいている)夜の喫茶店にいるところを警察に補導されたりします。原節子はそんな挙動不審を実母が関係していると思い、笠智衆は男手で育てたことが間違っていたと悔やみ、稲子ちゃんは彼氏と会っても埒があかず、ついに父の取引相手の家からお金を借りて、堕胎します。そしてそんな自分を悔やみ自分を呪い、実母をなじり、悲しいラストへと向かっていきます。










有馬稲子、いっぺんも笑いません。ずっと不機嫌で暗いです。原節子も赤ん坊をあやしている時以外は暗いです、思い詰めています。なのに使われている音楽が明るいんです、軽快でリズミカルで(音量を抑えているので気にならないのかな?)それでいてミスマッチ感なく心地よく感じる。いわゆるこれも「大船調」或は「小津調」ということでしょうか。






↓ 笠智衆は笑ってます。仕事さぼってパチンコちゅう♡。








とにかく、「暗さ」が「美しい」。写真を検索して出て来なかったのですが、夕暮れの浜離宮、品川の海とそこに浮かぶ漁船や運搬船、を背景に議論にならない時間を過ごす若い二人の後ろ姿。これなんか水彩画で有名なターナーの絵画を観ているかのようでした。






early morning (1819) ターナー研究サイトより







何度も書きますが、恐るべし4Kデジタル。小津安二郎の人間を見つめる眼差しが時に冷徹に、時に暖かく、それらがしっかりとスクリーンの中に凝縮していていて、じっくりしみじみと堪能いたしました。
















2018年 4月23日 
神田神保町シアター ”生誕115年記念 映画監督小津安二郎「をんな」たちのいる情景” にて観賞

2018年 6月28日
角川シネマ  ””小津4K 巨匠が見つめた7つの家族” にて観賞








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