人生劇場 飛車角 (1963) 監督 沢島忠







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「人生劇場」二本立てでいきます。


原作はなんと昭和八年の新聞連載。これまでに何度も映画化されてきたそうですが、この作品、傑作です。そしてここから本格的な「東映任侠映画」が始まったと言われる、言われるのが分かる、確信出来るような作品でした。 義理と人情、男と女、刹那的な生き様を美しく、かつ極めて芸術的な描き方。 美術セット・衣装・カメラワーク・エキストラの動き・照明などなどすべての要素がガッチリと組合わさっている感じ。観賞後、沢島忠監督の回顧録を立ち読みして知ったのですが、この映画の大ヒットで、鶴田浩二がようやく「スタア」の称号を手に入れたこと。銀座のバーを「ツケ」で飲み歩けるようになったこと。何だか微笑ましい昭和の風景が目に浮かぶようで嬉しくもあり。















冒頭、 村田英雄 (1929-2002) Wikipedia による「人生劇場」が朗々と流れます。演歌界の重鎮のひとりとして紅白歌合戦にも数多く出演している村田さんの声が素晴らしい。しばらくずしんと心に響くような演歌って聞いてなかったな〜としみじみ堪能。子どもの頃は歌番組でしょっちゅう聞こえていた本格的な歌声に酔いました。






Youtube 村田英雄「人生劇場」 (1976)





↓ ジェケ写はまさに映画の頃。


村田英雄 1 (カラオケDVD/本人歌唱)








つまり、1963年当時、主演の鶴田浩二より村田英雄のほうが人気で知名度もあったのでしょう。村田英雄、善いヤクザ、侠客として出番短いながら出演してましたが、 ↓  のポスターのように、まるで主役みたいにフューチャーして宣伝しております。













繰り返しになるけど、任侠映画の原点と言うべき作品。これがあったからこそ、のちの傑作  「明治侠客伝三代目襲名 (1965) 」監督 加藤泰 (主演:鶴田浩二・藤純子) や、 「博奕打ち 総長賭博 (1968) 」監督 山下耕作 (同じく!主演:鶴田浩二・藤純子) という珠玉の作品群に繋がったわけです。














舞台は明治期、主人公の俠客・「飛車角」演じる 鶴田浩二 (1924-1987) Wikipedia  は、組のために、組長の加藤嘉が止めるのにも関わらず、「ここであっしが出なければ男が立ちません、男、立たせて下さい」と若い衆とともに、対立する組を壊滅させます。日本刀振り回して皆殺しです。その出入りの前、鶴田浩二は佐久間良子(当時24歳)演じる、愛する「おとよ」さんの、すがりつき泣きじゃくる静止の声も振り切ってます。飛車角=鶴田浩二=つるさんは逃げません。刑務所行き覚悟して「組」のため、「男」追求のため犯行に及んだわけですが、おとよさんのことも死ぬほど愛しておりますし、刑務所の中でひたすら出所して「今度こそおとよさんを幸せにしてあげよう」という気持ちでいっぱいです(決して声にも顔にもそれは出しませんが)。







おとよさん(佐久間良子)のむしゃぶりつき具合は鬼気迫るものがありました。沢島監督の回顧録によると、当時これで二人は「できちゃった」らしいです。なんだか納得♡








鶴田浩二は5年の刑期(短っ!)でしたが、恩赦で3年で出所します。その間、仲間だったはずの別の組が、加藤嘉組長を殺害、おとよさんも売り飛ばされます。そんな「鶴田浩二=つるさんをひたすら待ちわびる」薄幸・おとよさんを救ったのは、かつてつるさんとともに出入りし、すべての罪をかぶって刑務所に行ったつるさんを兄貴と慕い、今は車夫をしていた高倉健(当時32歳)でした。がしかし、健さんは、おとよさんが兄貴の女とは知らなかったのです。知らないまま半ば強引に関係してしまい、おとよさん命♡になってしまったのです。そしておとよさんにすれば、その性交は鶴田浩二への裏切り、不貞であり、健さんは健さんで死ぬほど後悔しつつも、兄貴に謝って殺されても良いから、おとよさんと夫婦になりたいと願うのです。






ガチです!この二人。








やっとのことで出所した鶴田浩二。しかし門の前におとよさんは居ません。かつて鶴田浩二を助け、その男っぷりに惚れた老・侠客、吉良常が3年間の事情を語ります。つるさん、決して激しません。会いたくて会いたくてきっと待ちわびていてくれていたはずのおとよさん、居ません。しかも舎弟に寝取られたなんて・・・。 

ここ、当時の貞操感、男尊女卑感あります。おとよさんは抵抗したにも関わらず、でも関係してしまった以上、もう2度と鶴田浩二の女として会えない(女郎屋で生計を立てていたとはいえ)という強烈な思い。観ていて「そんなこと気にせず、つるさん好きなら飛び込めよ!」とちょっともどかしかったですけど。






唇をぐっと噛み締めて、鶴田浩二、謝りたいという二人と浜辺で会います。

こんな感じ。







(以下、記憶の台詞)

  
つるさんの前で激しく土下座する健さん。



健 「兄貴!おれの指を全部落としてくれ!そうでもしなけりゃ申し訳が立たねえ!」



つるさん、ゆっくりと、しかし重く強く発します。



つ 「てめえの指を全部詰めたところでおれの気持ちは収まらねえ!」


健 「!!!」


つ 「・・・が、健よ、指を全部詰めてしまって、おまえさん、おとよを幸せに出来るかい?」


健 「・・・」


つ 「おとよを、頼んだぞ」


健 「あ、兄貴っ!(号泣)」
  

つるさん、最後までおとよさんに一瞥もくれず、くるっときびすを返して去って行きます。もちろん、おとよさんもその背中を見送りながら、泣き崩れます。



かっこよすぎ!












以下、ラストまで書くよ〜(観たい人は読むなよ〜)






その後いろいろあって健さんも悪いヤクザに惨殺され、ラストは鶴田浩二がひとり、日本刀片手に殴り込み。なぜかそこに佐久間良子やってきてこれでもかとむしゃぶりついて止めますが、つるさんそんなことでは止まりません。迎え撃つのは悪い汚いヤクザの親分とその子分たち数十人。つるさん、ひとりずつ斬り殺してだんだんと親分に近づいて行きます。自分も斬られて血まみれになりながらもその距離を詰めて行きます。意識も朦朧としてきて手持ちカメラがブレます。そしていよいよ一騎打ちか?ってところでカメラがどーんと引いて、




「完」。





すげえ〜全身さぶイボ、もとい鳥肌が立ちました。あとは推して知るべし、だなんてっ!。

格好良すぎ!最高のエンディングです!













この日、上映館のラピュタ阿佐ヶ谷では、30分後に続編の上映が予定されていて、「ま、続編はええかな?」と思っていたのですが、思わずチケット購入。次回はこのつづきを語ります。







2018年 10月9日
ラピュタ阿佐ヶ谷 ”絢爛 東映文芸映画の宴” にて観賞










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