巨人と玩具 (1958) 監督 増村保造






愛ある、ゆえに辛辣な批評サイト




辛い。


↑ のサイトほど辛口にはなれないし、そんなこと言えた義理でもないけど、今の時代、今の時代に生きる者から観ると、すべてが安っぽいヒューマニズム、嘘っぽい人間関係、上下関係、安直すぎる社会風刺劇に見えてしまう。しかし何でだろう?例えば小津安二郎が描く作品は、たとえ時代が今でも心揺さぶるし、社会風刺だって黒澤明の作品には今でも通じる何かがある。いやたぶん、分からないけど当時の社会を、斬新な切り口でスタイリッシュかつ大胆に描く!みたいに、巨匠の作品に対して口が過ぎるかもしれませんが、「奇をてらった」感がありありに感じてしまい、疲れました。





左:野添ひとみ(当時21歳)・中央:川口浩(当時22歳)・右:高松英郎(当時29歳)






「キャラメル」こそ国民のお菓子!とばかり、三社のキャラメルメーカーの壮絶な営業競争が映画の軸です。
その宣伝部、敏腕上司・高松英郎のもと、新入社員・川口浩はキャラメルの景品に何が良いか?ライバル社の動向を探りながら活躍します。 ↑ は冒頭のシーン、川口が手にするのは過去の景品、おもちゃのピストル。高松は喫茶店の前で中に入れないでいた貧乏娘・野添ひとみを招き入れ、その素人然としたルックスに可能性を感じて、当時としては珍しい「マスコットガール」にさせようとします。










このひとみちゃん、特殊メイクで前歯ガチャガチャです。そこを矯正しないまま、プロポーションや愛嬌の良さだけで彼女はアイドルアイコンとして大人気になっていきます。当然キャラメルもバカ売れ、工場フル回転で大増産、従業員が貧血で倒れたりもします。まあそんな大消費社会を風刺しているのはわかるけど、この映画、すべての出演者の台詞回しが大芝居的で説明的で、なんか手の込んだコントを見ているような、状況や設定を想像させずあからさまに見せつけられているような感じがして、ほんと疲れました。











監督・増村保造(当時34歳)、青春映画の傑作 「くちづけ(1957)」 で、のちに夫婦になる川口浩×野添ひとみの魅力を爆発させ、2作目「青空娘」で、その後トータル18本競演する若尾文子をブレイクさせ、3作目 「暖流 (1957) 」 4作目「氷壁 (1958)」を挟んで(ちなみに、ここまで野添ひとみが出演していないのは「青空娘」のみ)この「巨人と玩具」で5作品目。どの作品からも若い才気あふれんばかりのパワーを感じます。特にこの作品では、だからたぶん舞台的な大声台詞まわしや、例えば火の点かないライターのカチカチするカットと、工場で量産されるキャラメルのカットを二重写しにしたり、あえて斬新な実験的映像にこだわったのだと感じました。










↑ にしても、野添ひとみの歯のメイクは酷い。

ひとみちゃんはモデル、歌手としても大成功し、その成功で今で言うフリーランスになり、いい仲だった川口浩とも別れ、さらにぶっ飛んで行きます。終盤ではとんでも衣装のとんでも音楽で熱唱&ダンス。ここで演る1曲は、先に紹介した 「暗黒街の対決 (1960) 」監督 岡本喜八 における、へなちょこ殺し屋4人組が歌う ♪ 月を消しちゃえ Youtube と双璧みたいな感じ。










「巨人と玩具」Youtube 1時間18分40秒あたりから観られますので是非〜!




この時代、本当にこんな楽曲が巷にウケていたのだろうか?先人たちの音楽的センスを大いに疑うおれ。





↓ ヤフオクに出品されていた台本。






昭和33年当時の風景、人々を堪能するには最高の映画です。特に前半、川口浩が大学時代の親友で今はライバル会社に勤める男と、かつて学生時代に通った「歌声喫茶」を訪れるシーンは凄い。店内満席で詰め襟姿の学生、女子大生たちが肩を組んで大声で合唱しているシーン。カラオケも、テレビさえない時代。若者たちの発散の場。こうして私たちの先輩たちは盛り上がっていたんだと感心。そしてシュールで笑えるラスト(製作者はそこにこそ大いなる「シビアな」メッセージを込めたんでしょうが)も、ある意味必見です。







2018年 9月24日
神田神保町シアター ”夢見る女優・野添ひとみ” にて観賞








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