日本脱出 (1964) 監督 吉田喜重






ストーリー&優秀なレビュー




1964(昭和39)年、東京オリンピック開催の2ヶ月前に公開。

監督 吉田 喜重 (1933-) Wikipedia (よしだ・きじゅう<よししげ>作品はこのサイト初登場。この映画を完成させ、女優・岡田茉莉子(当時31歳)と結婚し、新婚旅行で海外に一ヶ月くらい行ってたそうで、なんとその間に松竹がこの映画のラストを無断でカットしたらしく、吉田監督はそれで松竹を退社、以後晩年はドキュメンタリーなどを多く手掛けたそうです。大島渚・篠田正浩とならんで「松竹ヌーベルバーグ」の旗手として活躍したという情報を見て納得ですが、確かに映画的構図、表現のとんがりかたというか、アバンギャルドでスタイリッシュな、この映画もそうゆう雰囲気に溢れてました。








が、しかしですよ。

面白くない。

先ず主役が果てしなく、大根。

与えられた台詞をとにかく大声で、全身に力を入れて発声して。共演者の名優たちとまったくアンサンブル、響いてない。なのにこれを良しとし、これが良しとされた時代だったのか?なんて考えると、さすがに日本映画凋落のそこに原因があったのかも?とか、偉そうに勘ぐってしまう。

物語はジャズクラブのローディー(楽器運搬など)みたいな下働きをする、主人公・Aとしておきましょう、Aの悶々からスタートします。ステージではノリノリのジャズが演奏されていて、Aはその洩れ聞こえる音を地下の控え室で聞きながら、鏡に向かってエアーマイクで熱唱しております。正直言ってヘタっぴです。全然イケてませんが、Aの夢は「ジャズの本場、アメリカに行ければ、きっと俺の歌声が認められる!」なんて妄想してます。




左:桑野みゆき♡(当時22歳) 右: A





そんなAには尊敬する元ドラマーの兄貴・待田京介(当時28歳)がいますが、待田があかんたれでシャブ中なんです。そんな待田がヤクザでマッチョな内田 良平(当時30歳)が持ちかけたトルコ風呂強盗を遂行するため、弱気で大根なAに強盗に加わるよう強要します。トルコ風呂に勤める女・桑野みゆきの手引きがあるから大丈夫、決して人は殺さない、などを条件にバカ男3人組は強盗するのですが、逃げる際に誤って警官をひき殺してしまいます。




左:桑野みゆき♡ 右:内田良平






彼らは前もって落ち合う場所だった無人競輪場の地下室に向かいます。 Aは警官を殺してしまったことに激しすぎるくらい動揺してしきりに後悔の叫び声をあげてます、待田はクスリが切れて来て朦朧としてます、そこに手引きしたスレンダーで超美しくエロスな桑野みゆきが合流して、分け前を分配してそれぞれ逃げれば良かったのですが警察の手配が廻っていることを知り、仲間割れが始まります。内田は桑野を犯そうとし、Aが行きがかりで内田を射殺。シャブ中、待田も使い物にならず、ここでAはなんと強奪金を抱えて、我らが桑野みゆきと逃避行に出るわけです。




ここでタイトルを確認しましょう。






「日本脱出」です。

高度経済成長まっただ中の日本にあって、それでも貧富格差はどんな時代にだってあり、Aがその実力は置いといて、「こんなニッポンよりアメリカ♡」と熱望するのは分かります。舞台は横浜なので海を渡れば、渡れさえすれば必ず「今よりも良い自分になれる!」と、願う気持ちは分かります。なのにちんけな犯罪に手を染めてしまい、しかしAはその金で念願の渡航が(これは犯罪で手にした金なので言語道断ですけど)叶えられるハズなのに、人を殺してしまった後悔が先に立ち、優しいみゆきちゃんが米軍キャンプに暮らす旧友・坂本スミ子(当時28歳)を訪ね、米軍による密航で、せめて本当は純真なAを海外に逃がそうと画策してギリギリうまく行きそうになったのですが、A の精神はここで限界崩壊して、用意された船から逃げ出し、あげく普通の貨物船の荷物に紛れ込んでクレーンで吊られたところを包囲されて終わり。




桑野みゆきさんだけが輝いておりました。でもやっぱり、翌年公開の 「赤ひげ (1965) 」監督 黒澤明 のみゆきさんが最高潮です。





逃避行の最中、東京オリンピックの聖火リレー(開催前なので創作)のシーンとかがあり、つまり、初めてのオリンピック、開かれた日本への夢に踊り踊らされる現実とは裏腹に、クズ同然でうごめく庶民の現実があるという、その対比はとても面白い。またオープンングタイトルは 岡本太郎 Wipipedia が絵筆を持ち、爆発絵画創作画面なんです(これは超貴重!)。その画は、今東京渋谷でフツーに観られる 明日の神話 Wikipedia のようなタッチ♡。





「明日の神話」@ 渋谷駅







2018年 9月6日
神田神保町シアター ”1964年の映画 - 東京オリンピックがやってきた「あの頃」”にて観賞








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桑野みゆきさんのスレンダーボディたまりません! 右:待田京介


あの頃映画 「日本脱出」 [DVD]








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