お早よう (1959) 監督 小津安二郎






ストーリー allcinema




傑作ホームドラマ。

ずっと微笑んで観てたおれ。

インターネットも携帯電話もない時代、

もう絶対に戻れない、昭和の日常。










小津作品を調べてみると、海外で評価されたり研究されているサイトが多いのに気づきます。しかもつたない英語力で読んでみても、その多くが「普遍的な家族の姿」それを描く手法、意義みたいな部分に注目されているのが分かります。つまりオリエンタル・東洋的なものへの興味(それも確かにあるとしても)ではなく、時代が変わっても通じる人と人の機微や、或は時代が変わったからこそ尊く感じる人間関係、親子関係だったりするのです。





お揃いのセーターが超可愛い。





子どもが主役です。

一番上のポスター見ると、若い男女の出会い系?みたく感じてしまいますが、そこは宣伝上ということで。5組の家族、たぶん荒川沿いに建てられた集合住宅に暮らすその営みから見えてくる、本当にさりげない日常と、そんな日常から垣間見えるユーモア。ここで言うユーモアは「喜劇」ではありません。フツーの会話、フツーの仕草、フツーから見えてくる可笑しさなんです。










それぞれの主婦たちの噂話、近所付き合いから生まれるささやかな妬み(テレビを持っている家、洗濯機がある家)や教育感とか、子どもたちの遊び(額を押すとオナラが出る笑)と、ポスターにある大人の男女(佐田啓二と久我美子)の互いに踏み出せないでいる恋。そしてそれぞれの大黒柱、夫たちの家族感とか定年退職に向けての悲哀とか・・・。





荒川土手を通学する子どもたち。自在に屁をこくことに夢中です。お風呂で使う軽石を食べればこきやすくなると信じて、子どもたちは特訓に余念がありません。なかにはいつも出してしまう子どもがいて、その子は杉村春子演じる母親にいつも叱られてます。「いっつも汚して!おまえに履かせるパンツなんてない!」(笑)。







子どもたちは、佐田啓二の英語塾に通ってます。がしかし、住宅街で唯一「テレビ」がある家に上がり込んで相撲中継に夢中です。家の主は恐らく夜の仕事で稼いでる大泉混とその妻なんですが、彼らは昼間はパジャマで過ごし、時折住宅街の中を歌って歩いたりして、着物姿が当たり前の他の主婦たちからは敬遠されてます。だからやっぱり杉村春子が代表して玄関先で子どもたちを叱りつけます。





杉村春子 (1906-1997)

Wikipedia





↑ この人が出ているだけで儲けもの。Wikipedia を読んで唸りましたが、「演技しないように演技する」そのポリシーが貫かれてます。 小津安二郎の次回作 「浮草 (1959)」 では淡々と静かに耐え忍ぶような女性でしたし、他の小津作品でもそれぞれ違う味わいを醸し出してます。 「赤ひげ (1965) 」監督 黒澤明 では本当に狡そうな女郎屋の女将だったし、 「流れる (1956) 」監督 成瀬巳喜男 も味わいありました。

↓ 以下、Wikiよりコピペ。こうゆうことができるのが真の意味での役者、って気がします。

山田洋次は、「葬式は人間にとって一大ショーでね、よく演出された葬式は後からみんなが喜びますよ。"よかった"ってね」と話し、その例として小津安二郎の葬儀を挙げ、「長いこと小津さんと一緒に仕事をやっていた助手が、一人大袈裟に悲しんで、納棺という一番大事な時にも、その人一人で泣き騒いで、他の出席者がみんなシラけてしまったんです。するとクギを打ってふたを閉めるという時に杉村さんが「ちょっと待って」とツツツーと出てきてみんながじっと見ている中、「もう一回だけ」と言って顔を見て、ハンカチをツツッと顔にあててハーッと泣いた。その時初めてみんな悲しみが迫ったというんです。やっぱり役者だなあとみんなで感心したんですね。自分の出番をよく知ってたんじゃないか、このままでは葬式が完成しないと。一人だけあんなブザマに泣いていてどうするんだろうと。最後にしめて自分の役割をきちんと演じたのではないか。それでみんなも初めて納得できて、涙が快く流れて"よかった"ということになるわけです」と解説している。





話戻って、主役は子どもたちです。






↑ 写真の兄弟。ささやかに暮らす毎晩の夕食がいつも焼きイワシだったり、家にテレビがないことを理由に反抗します。笠智衆演じる父親に「男は黙っていろ!」と怒鳴られ、だったら黙ってやろうと兄弟固い絆で「だんまり」を実行します。つまり一切口を聞かないというストライキです。食事中も、通学中も、教室で当てられても「無言」だし英語塾でも喋りません。 ↑ の写真は、おばさんである久我美子が買って来たケーキ(本当は食べたくて仕方がないのに)ストライキ中なのでふて寝してるところです(可愛い♡)。










もうほんと子役最高です。ちなみに弟くんは次回作 「浮草 (1959)」 でもキュートに笑かせてくれました。

やっぱり小津安二郎、凄い。比べちゃ悪いけど、例えば 「刑事物語 小さな目撃者 (1960) 」監督 小杉勇 の稿でも書きましたが、この時代子役専門の芸能事務所なんて(たとえあったとしても)そのメソッドやスキルなんて皆無に等しかっただろうと想像するし、そんな中、きちんと演出できている、子どもたちがリアルに存在しているあたり、世界の小津と呼ばれる所以がここにもあると感じました。










他にも言及したいこと山々とあります。なんてったって名優・怪優オンパレードだし。でもどうか、これを読んだ方に是非一度観て欲しくて、ストーリーも、演技アンサンブルのあやも語らないでおきましょう。

昭和34年、高度経済成長、東京オリンピック目前、もはや戻れないあの日、あなた自身の目で楽しんでみて下さい!





偶然にも観賞日、監督の誕生日でした。

小津安二郎 (1903-1963)








2018年 12月12日
神田神保町シアター ”生誕百十五年記念 清水宏と小津安二郎 ふたりの天才が残した奇跡の映画” にて観賞







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グッドモーニング。確かに。でもね。


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