青春を返せ (1963) 監督 井田深






優秀なレビュー



いづみん♡続けます。

良かった、泣きました。

ネタが割れててお決まりの展開なんだけど、物語がかっちりまとめられていて、そして何よりも芦川いづみ(当時28歳)の魅力がたまらんです。先にレビューした 「硝子のジョニー 野獣のように見えて (1962) 」蔵原惟繕 におけるいづみん、体を張っての汚れ役熱演が、例えば石原裕次郎や赤木圭一郎の相手役(相手役という表現こそが男尊女卑だと感じなくもないが)の時に見せる清純だったりキュートだったりする役柄を踏まえたうえで、ある種達したものだとするならば、この映画はいえいえ、「硝子のジョニー」のあとに作られたもので、ここでもまた清純派路線(どんなに貧しくてもメイクばっちり、衣装ばっちり)で泣かせてくれるので、いや本当に「硝子〜」と同じいづみんとは思えないし、それほどに役柄に対して徹底した意識があったのだろうと感伏いたしました。












町工場で働く兄・長門裕之が無実の罪(近所の資産家と娘惨殺&強盗)で死刑判決を受けます。背後には警察の拷問に近い取り調べがあったのですが、妹・いづみんが当初は弁護士と、そしてのちにひとりで証拠や証言を集め、逆転無罪を勝ち取るストーリーです。無罪になるまで5〜7年もかかり、その間には絶望した母親が自殺し、いづみんは着たい衣服も着ないで節制し、かつ近所の中傷に耐え、勤めていた会社も首になってクラブのホステスで勤めるもすぐに「死刑囚の妹」と知られ、そのたびに職場を転々として、楽しいはずの、キラキラするはずの「青春」が無かった。だから「青春を返せ」という直球どまんなかタイトル。






右:長門裕之(当時29歳)







ちゃらい、おとぼけ役が得意な長門裕之も、抑えた演技でグッドです。取調室で寝かされず脅され続け、朦朧とするなかで警察が作り上げた調書にサインしてしまいます。いづみんは再審請求のたびに当時の目撃者たちを訪ね歩き、ついに真犯人が嘘の証言(犯行時間)をしていたことを突き止めます。その目つきの悪い真犯人こそ、当時は端役だった、しかし5年後にいづみんと結婚しいづみんを引退させた(ごめんなさい、中傷ではないです)藤竜也(当時22歳)でした。






↓ 藤竜也。ここからヒゲを消したら、若い時の風貌が分かる。






藤竜也の出番は少ないのですが、後半でいづみんと対峙してシラを切るシーンがあり、つい「この野郎、おれたちのいづみんを食いやがって!」と思って観てしまったのは決しておれだけじゃないでしょう(笑)。

ダンディ芦田伸介(当時46歳)の助けも借りて、いづみんは取り調べを担当した元刑事の居所をつきとめ、最高裁で「兄の自白調書を強要したこと」を証言してもらえるようお願いに行きます。がこの元刑事(現在は工場の守衛)は警察への忠信からと、現在の慎ましやかな平和な生活を壊したくない(ほんとのことを証言したが最後、警察からも国民からもバッシングされるだろうし)ことを理由にいづみんの必死のお願いを聞き入れません。





映画には無いShot。死刑囚と面会室で面会はできても、こんな寄り添いは不可能。





何度も挫けそうになるいづみん。この証言さえあれば兄の無実は勝ち取れる。元刑事を演じるのは 大森義夫 (俳優) 1909-1983 Wikipedia 地味な俳優さんで、映画「事件記者」シリーズのレギューラーとして知られる方ですが、調べて見たらぼくが観たなかで 「白い悪魔 (1958) 」監督 斎藤武市  だけに出演していたのですが、記憶が薄く。その大森義夫が素晴らしい。結局は保身のためなんですが、いづみんの前で土下座して慟哭するのです。

さて、ここでとんでもない展開に。大森さんの家を辞して帰らざるを得なかったいづみん。まだまだ舗装なんてしていない土の車道をとぼとぼ泣きながら歩きます。と、目の前に大森さんの子ども(少年)が、お使いで買ってきたおやじの煙草を落としてしまい、それを取ろうとしたところにトラックが接近!あぶない!いづみん体を張って子どもを突き飛ばし、自分がはねられてしまいます。










意識不明の重体です。そしてこの事故が原因で、ついに大森義夫は証言台に立ち、真実を語ることを決意したのでした。まあ、そんな強引な展開。ラストは冤罪が晴らせたことでちゃんちゃんなんですが、無罪判決を前に、可哀想な、青春を謳歌できないままだった芦川いづみ、死す(涙)。

泣きじゃくる芝居なんかでも、顔をゆがめてするのではなく、そのままの瞳からポロポロ涙が溢れてくる演技、もらい泣きですよほんまに。

何も殺さなくても!兄と妹、平和な青春を返して欲しかった(怒)。いづみんファンの間では、最高傑作とも呼ばれるんですが、ま、そこまでは思いませんでしたけど、必見です、おススメします!

ちなみに監督の名前は、井田深(もとむ)と読むそうです。







2018年 12月4日 
ラピュタ阿佐ヶ谷 ”Laputa Asagaya 20th anniversary もう一度みたいにおこたえします”にて観賞








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ソフト化するべし!








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