3つの「編集力」①編集力とは?

①編集力とは~自身の生活を向上させる編集力と他者の動きをコントロールする編集力

情報編集力が思考を見える化することで他者同士をつなぐ役割を果たすのに対して、編集力とは自己の思考段階でのA.創造力 B.論理力 C.行動力というような個人の行動につながる思考プロセスという位置づけができます。
たとえば、自宅の一室をデザインする行動を伴う場合は「ライフスタイル編集力」と呼ぶことができます。



1.編集力
日常生活と飲食店などの接客場面を例に「編集力」を考えてみます。

・自身の生活を向上させる編集力
日常生活で自分の部屋をイメージチェンジする場合、全体の方向性をイメージします。コンセプトやデザインが決まれば、お店に行きコンセプトに合う家具を購入、部屋に配置します。機能性やデザイン、場合によっては風水などを気にしながら風の通りなど、空間全体を自分の理想に近づける努力をするでしょう。
この時に、情報誌を見たり、実際にお店に行って商品を見比べるなどの情報収集も積極的に行います。
プロのデザイナーでなくても、好みの色や形にこだわり自分の理想に近い商品の配列によってきれいに仕上げることができます。また時系列の先を見て、友人が来たら、パーティをするなら、どういう状況になるのかをシミュレーションするでしょう。
部屋という空間とともに、時系列の先にあるイメージにフィットするように家具を配置するという行動は、
 ①イメージする
 ②情報を集める
 ②デザインする
という3つの行動パターンで考えることができます。
自己イメージ達成のため自己主張と社会性を融合させる、これが生活の向上と密着した「編集力」です。マネープランニングなども含めて、細かく言えばライフスタイル向上のための編集力という位置づけもできます。

・他者の動きをコントロールする編集力
一方、仕事のなかで飲食店の接客やスーパーの商品売場を考えてみましょう。
飲食店の座席は、回転率を考慮したレイアウトによって設計されています。カウンター、4人掛け、2人掛け、などどの組み合わせと、テーブルを移動させることで6~8人の家族連れにも対応できるようになっています。
午前11時にオープンします。2人連れの女性が入ってきました。続いて、3人連れの男女、1人の来店者が続きます。当初は、店の奥の席へ案内します。
まず、接客した店員は、どこにどのお客様を案内したのか頭の中でイメージとして記憶しておく必要があります。だれもメモを取ることはありません。
次にウォーターサービスやオーダーの確認などの流れがあります。オーダーを受けると、料理ができあがるまでに次の来店者を案内します。次第に満席になるなかで、多くのお客様の注文状況やカップの水が減っていないかなど、全体を俯瞰しながら個別のテーブルの状況にも注意を払います。
自身の裁量で他者の動きをコントロールし満足度を向上させる、これが、接客など他者と関わる場合に求められる編集力です。社会性も求められますが、狭い空間でのオペレーション作業の効率化と満足度向上が基本です。
スーパーなどの売場もカテゴリーに分類されていて、お客様がどういう流れ(動線)で商品を取るのかが考えられています。現状と時系列をイメージしてお客様の動きをスムーズに流すための、情報とサービスを頭のなかでイメージとして組み立てる編集力です。これによって、お店の回転率向上にもつながっていきます。
こうしたイメージ力は、CS顧客満足度向上のためサービス提供者に求められる必須のスキルです。

・頭の良い店員と要領の悪い店員の違いはイメージを描く編集力の差
「現状がしっかり認識できない」「時系列の先が読めない」と言われる人は、往々にして頭が悪い人です。同じ高校卒業者であっても、有名進学校と普通の高校の卒業生の差が違う理由も、ここにあります。
多くの場合、学校の勉強をしっかりと理解して一定の水準まで達するトレーニングをした人たちは、イメージ力も身についています。小さな頃の絵本の読み聞かせ、読書、学業、スポーツなどで秀でている人たちはイメージ力も強く、さらにイメージを実現するための論理的思考や実践行動も積み重ねてきています。考えただけではすぐに成功しないので、深く、広く試行錯誤を繰り返すなかで、自然とイメージ力も備わっているということが言えます。
かといって、一般の高校卒業だから全ての人が劣っているわけではありません。得意分野を持っている人たちは、学校の成績に関わらず、ちょっとしたアドバイスで潜在能力を開花させることができます。
飲食店のアルバイトであっても、自信をつけさせながら論理的なOJTを組み立てればだれでもこの編集力は伸ばしていくことができます。飲食店オーナーやマネージャーの力量が問われることでもあります。
お客様の前でいつもアルバイト店員を小馬鹿にしているコンビニ店オーナーがいました。すると、アルバイトの定着率が悪く、いつもオーナー自身がレジにいなければいけない状態になってしまっていました。一方、おおらかで規模を拡大しているオーナーは、アルバイト募集広告もほとんど出すことなく堅実経営で売上を伸ばしました。
トレーニングの工夫次第で、普通の能力があれば現場経験を感情ではなく一定のロジックに沿って積ませて自信を付けさせれば、十分に伸ばし活用することができる、それが編集力ということになります。ロジックがないオーナーは、そもそも編集力に欠けるという致命的な欠点を持っているということになります。一般論として、生活が豊かな人や、頭が良いと周囲から評価される人たちは、現状と時系列の流れがしっかりと頭のなかでイメージできるため、行動も論理的で、結果を得ることもできるため、より高いステージで活躍できるようになった人たちだということもできます。