〇ビジネスマンに情報編集力が必要だと言われる理由

・事業の主役が自分自身で客観的に情報を組み立てる必要性に迫られている
話をもとに戻すと、企業や専門店が行う販促活動(公益機関の広報活動も同じ)はWebサイトという大きな役割を持つ媒体を持っています。かつてのマスメディアに頼った宣伝や広報活動とは異なる、新たな情報発信のしくみづくりが求められ、またその成果が問われるようになってきました。
つまり、自分たちが持つことができたWebという媒体を使ってマスメディアとは異なる役割を理解し、その情報編集にも一定のスキルが求められるようになってきたというのが現在の状況です。
ところが、基本的にはマーケティングや事業分野の専門家であっても編集の専門家ではないビジネスマンが、編集者の仕事や役割を担う場面が出現しました。これが、情報編集力が重要だと言われる理由です。
つまり、事業の主役たち(ビジネスマン)が、自ら客観的に第三者(インタビュアー)の視点で情報を組み立てる必要が出てきたのです。
前段で「情報を根拠として商品の必要性をアピールします」という表現を使っていますが、一般的に言ってビジネスマンや専門店主は「商品PR(商品メリットを発信)」することは得意です。
商品を直接アピールする手法の1つとして、デザイン性が重要なポイントであることは周知のとおりです。従来のマスメディアによる広告宣伝ではコピーライターのように「商品メリットを端的に表現するスキル」を持つ人たちや映像で表現するクリエイターたちによって、視覚や聴覚に飛び込むことで消費を刺激する広告手法が取られてきました。
パソコン編集は、事業に無関係な第三者の関わりのない状態で自分たちが情報編集者になのです。

・Webサイトには広告宣伝の手法は通用しない
簡単に言えば、超大型店の品ぞろえ、激安店との価格競争、宣伝広告費を使った露出度の高さ、この3点に対抗できればナンバーワン企業として楽天やZOZOタウン、ネット証券などのIT企業がネット広告以外にテレビCMによってセールを告知したり、企業ブランドの浸透に努めていることを見ればわかります。
では、もう1つ、テレビや折込チラシで毎日のように目にする企業広告はどういうものがあるでしょうか。大型スーパーや地域の中堅スーパーなど日替わりセールが打ち出せる商店、自動車販売店など全県下に支店・営業所を展開しているため広域のPRが必要な企業などです。地域専門店は地域メディアなど市域をエリアとした集合広告による小さな広告がほとんどです。
これらは、いずれも季節ごとに行うセールなど、商品やサービスのセールと告知が主な情報の内容です。商品や価格という顕在化された価値を打ち出すことで、競合店との競争に打って出ているのです。
広告宣伝は企業ブランドの浸透を含め、ある程度は必要です。しかし、品揃えや低価格などの競争に耐えられない企業は広告宣伝によって飛躍的に売上を伸ばすことは難しいと考えるのが一般的です。
そこで、見える価値ではなく見えない価値に注目する必要が出てきたのです。ただし、見えない価値は文字どおり「どう表現するのかさえ見えない」わけですが、1つのヒントがマスメディアの記事広告にありました。

・有料の商品PR用ちょうちん記事にはない無料記事の特徴

記事広告とは、新聞の体裁を見ればわかります。通常、新聞は記事の下や別に広告ページを設けてデザインされた広告を掲載します。広告を掲載せず新聞記事が下段までぎっしり詰め込むと読みにくくなるという弱点も、広告があることでバランスが取れているのです。
記事広告は、記事の部分に紹介記事として掲載します。一般紙であれば、企業広報(新製品発表など)のニュースリリースに基づいて「新製品を記事」として紹介します。ポイントは、無料で掲載します。記事掲載は、
 ・無料
 ・客観的な立場で記者が執筆=客観性の担保
これが、マスコミニュースリリースを専門に扱うWebサイトもあるように、企業広報のメリット(無料で、しかも客観的な立場で記事で紹介してもらえる)です。
しかし、地域限定で発汗している記事も掲載するメディアの多くは、料金を設定して「商品PR記事」を掲載しています。
 ・有料
 ・商品PR(広告に載せる内容を文字にしただけ)=店や商品の主張
いわゆる、業界で言う「ちょうちん記事」です。しかも、文字数が少なく200字から600字程度で商品PRを羅列しています。

・客観的な視点でエビデンスを含む情報は信頼性が高くなる
それぞれの思考スタイルについて簡単に解説を加えます。基本はライティング思考からスタートすれば、様々な情報の組み立てが理解しやすいという考え方に基づいています。通常、[PR広告]というクレジットが入ります。
しかし、別の記事スタイルがあります。それが、客観性を担保していかにも第三者が、社会性などの影響も考えて「商品やサービスの価値を引き出した記事」です。こういうスタイルだと、新聞の記事の欄にクレジットなしで入れて紙面編集しても新聞や記事全体の信頼性を失われることはありません(通常は特集ページを用意します)。記事の信頼性とは、明確なエビデンス(根拠)に基づき、客観的な視点で論理的にきちんと組み立てられた記事によって成り立っています。お店の商品だけが効果があるような記事は通常、あり得ません。比較して、どういう差別ポイントがあるから「こういう結果(データに基づく)」が得られているというニュース価値を伴っているものです。

・客観的に論理的に編集された情報の特徴とは?
例を挙げれば、ある民間の遊戯施設の入場者数が開業から100万人を突破した、という場合です。企業のニュースリリースがソースとなる場合が多いのですが、どのアトラクションの人気であるとか、サービス向上のためにこういう取り組みをしている、という情報が裏付けとなり、「予定よりも半年早い達成」というニュースとして記事が掲載されます。
こうした情報は信頼性が高く、読者も民間の遊戯施設に対して信頼感を持ちます。また、新聞記事の特徴の1つとして「今後の展望」を最後に加えます。実績や業績に裏付けされた「結果(100万人達成)」に触れることで信頼感や展望に対する共感が生まれ、「行ってみたい」「あの遊戯に乗りたい」という欲求が生まれてきます。安いから行こう、セールだから行こう、というきっかけではなく、「共感したから行きたい」「多くの人たちが行っているのだから行ってみよう」という心理です。
広告で名前を知っていたけどこれまで足を運ばなかった人たちも、共感すれば自分たちの楽しむ将来のイメージを描いて、自らの意思で足を運ぶようになります。これが、客観的に論理的に編集された情報の特徴です。

・インスタ映えも仲間意識と仲間の間の承認欲求が関係している?
こうした情報の組み立ては、マズローの5段階の欲求と重ねて解説することもできます。安いから購入する生理的欲求(スーパーのチラシを見た買い物も現在は、イベントの一つとして楽しんでいる)ではなく、帰属欲求や安心欲求、そして他者と共感することで自分も認められたいという承認欲求、そして自分の高度な欲求を満たす自己実現欲求といった心理にも影響を与えています。
インスタ映えという言葉が浸透しましたが、仲間に写真を送ることで帰属欲求や承認欲求の心理が関係していると考えられます。当然、そこにはネットでつながる仲間という安心を求める欲求や、情報を発信することによって得られる自己の欲求を満たすという心理も伴っていると言えます。
ともあれ、商品写真があって「〇〇円」という情報だけがやりとりされる時代ではなく、「安!なんでやねん」というコミュニケーションの展開が始まります。